一つの区切り・・・

私にとっては大きな心の区切りを向かえることになりました。
まず、悲惨な事故で亡くなった方へ哀悼の意を表したいと思います。
追記、整理等あり

以下は新聞記事へのリンクです。一応、私は医学系図書館にあった毎日・朝日・日経・神戸の各新聞にある関連記事はすべて目を通しています。各社とも量が膨大であることと、例の思いがよみがえってきてかなり鬱になりましたが・・・。

また、ネットで載っているものを新聞ごとにまとめました。

神戸新聞

JR西の企業体質批判 尼崎脱線事故で最終報告書
事故調の独立など「提言続けたい」 JR脱線遺族ら
補償交渉、先行き不透明 「カギはJRの説明」
対応策の報告を 国交省、JR西に通達
JR西の企業体質批判 尼崎脱線事故で最終報告書
惨事の発端、停車ミス ブレーキ遅れ16秒
日勤教育の有用性、真っ向から否定
日勤「一部行き過ぎも」 JR西社長会見
報告書への評価分かれる 遺族らが会見
車両の変形が被害拡大 構造の改善提言 
業過致死傷の立件厳しく 運転士以外の過失焦点 県警
神戸新聞社説:JR事故報告/安全運行の確立に最大限生かせ
「事故の芽」報告、改善を 建議、異例の2度目
どう読む最終報告書 専門家に聞く 尼崎脱線事故
神戸新聞はそのほかにも特集をしていて、特に車掌と指令との携帯通話記録を大半載せるなど、かなり他社とは違う記事を書いていました。通話記録を見ると現場の混乱ぶりがよく伝わってきます。特に指令が車掌がありのままを伝えた「ぐちゃぐちゃ」という言葉を想像できず、意味が分からないと返答しているところは事故の悲惨さをよく表しています。そして、後続運転士の「なんというかプレスされて原形をとどめていない」「残骸だけが散らばっている」という言葉で初めて現場の状況を認識する様子もよく分かりました。
ただし、一点だけ指摘しておくと通話記録の省略の仕方が恣意的だったように感じます。事故調の報告書では全文が載っていますが、なぜJR、特に指令が最初、車との衝突事故だと思ったかという重要な部分が完全に抜けている。他の新聞ではそれを批判する記事もありましたから、マスコミはかなりこの報告書についても恣意的な報道をしていると考えられます。やっぱりマスコミはマスコミです。
事故調査報告書から引用します。赤色の部分は神戸新聞では省略されていたと記憶する部分です(hatenaの自動キーワードリンクが入って分かりにくくなってますが)。今手元に記事がないので分かりませんが、もし記事を持っている方で、正確な省略場所をご存知の方はよろしければコメントから情報をください。私も週明けに図書館でもう一度確認しようとは思っているのですが。

付図31 本事故発生後の業務用携帯電話を使用する
本件車掌及び後続運転士と輸送指令員B
との通話記録ファイル
「305T092016a」の内容
(輸送指令員B)はい。JR 西日本の指令です。どうぞ。
(本件車掌) すいません。こちら5418Mの車掌です。
(輸送指令員B)5418M車掌どうぞ。
(本件車掌) えー、塚口から尼崎間走行中ですけど。
(輸送指令員B)塚口、尼崎間はい。
(本件車掌) はい。えーっと無線通じないもんで。
(輸送指令員B)運転士の無線が通じない。はい。
(本件車掌) 私も、何も入りませんので、電話かけました。
(輸送指令員B)はい。どうぞ、内容どうぞ。
(本件車掌) えーっ、と伊丹を行き過ぎて指令に連絡したんです。その後、運転士さんがいう、い
う合図で運転士さんが急ブレーキ取りまして。
(輸送指令員B)うん、ちょっと意味が分かんないやけど。伊丹の所定位置を行き過ぎて止まったと
いうこと。
(本件車掌) ちょっと前行き過ぎて、そのまま発車したんです。
(輸送指令員B)えー、車掌さん落ち着いてゆっくりしゃべってよ。
(本件車掌) はい。伊丹駅を後部限界過ぎまして、で、所定位置戻しまして、発車した後に連絡
したんです。指令の方に。それで話をして、あと「運転士さん」とゆうて、あの、指令
が運転士さんの方に連絡したんです。そのあと、急ブレーキが掛かりまして停車
中です。
(輸送指令員B)今、まっとるということ。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)何で、止まっとるの。
(本件車掌) ちょっと分かりません。
(輸送指令員B)運転士に、無線通じなければ、運転士に、えー、運転士に非常時用の携帯でかけ
てくれと「ブーブッブブ」て鳴らして。
(本件車掌) あ、すいません。今、あの、脱線しております。
(輸送指令員B)脱線しとる。
(本件車掌) 脱線しとります。
(輸送指令員B)えー、えー何。
(本件車掌) 脱線です。
(輸送指令員B)何しとる。もう一回ゆっくりゆうて。
(本件車掌) 脱線しております。
(輸送指令員B)脱線?
(本件車掌) 脱線です。脱線事故です。
(輸送指令員B)えーっと。列車が脱線してるということ。
(本件車掌) そうです。
(輸送指令員B)あー、それは何、車と当たっておる、とかそういうこと。
(本件車掌) そうじゃないですけど、前、前が、ちょっとよく見えないですけどね。
(輸送指令員B)うん。前はよく見えないけど。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)脱線しているかもわからんということ。
(本件車掌) 脱線してます。線路から完全にはみ出しております。
(輸送指令員B)ちょっと、車掌さんこのまま待ってよ。
(輸送指令員B)運転士さん。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)車掌さん。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)まずね、今、止まっとる位置は、止まっている位置は。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)運、車掌さんの真横を見て電化柱の番号か何か分かりますか。
(本件車掌) えー、番号は分からないんすけど、○○自動車工業ちゅうとこの手前です。
(輸送指令員B)○○自動車工業の手前。
(本件車掌) 手前ゆうか、その横に止まっております。
(輸送指令員B)ほならね。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)えーっと、どういうことかよくわからんのやけども、電話このままの状態でね。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)えー、まずは状況を教えてくださいな。ほんで。
(本件車掌) 状況ですか。
(輸送指令員B)うん。
(本件車掌) 無線が完全に通じないもんでね、呼び出そうとしても。それで、急ブレーキ掛かった
もんで、お客さんがみはりまして、「どうされたんですか。」と言ったら、「前、脱線し
てる。」ということで、お客さんが。
(輸送指令員B)そしたら車掌さんね、一遍進行左側、列車から降りて、一遍、その前に走ってくださ
い。
(本件車掌) あ、分かりました。
(輸送指令員B)電話はこのまま繋ぎますから。
(本件車掌) 分かりました。
(輸送指令員B)うん。
(本件車掌) このまま、ほんなら、行ってみます。
(輸送指令員B)ほんで、車掌さん。
(本件車掌) 今から行きますんで。
(輸送指令員B)早く行って。車掌さん。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)今どこにおる。
(本件車掌) 今、あの、あの、線路に降りております。
(輸送指令員B)それで。
(本件車掌) 見に行ってます。
(輸送指令員B)うん。
(本件車掌) ちょっと、見に行きますんで。
(輸送指令員B)うん。
(本件車掌) 降りて、道路際の方行ってます。道路際まで行っております。
(輸送指令員B)車掌さん。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)車掌さん、今どこまで来た、車掌さん。
(本件車掌) 負傷者がたくさんですんで、恐れ入ります。
(輸送指令員B)負傷者がたくさんおるということやな。それは、それは列車に乗っているお客様ゆう
こと?
(本件車掌) そうです。
(輸送指令員B)うん。そんでね、車掌さん。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)前に、前、前まで行ってもらっとるか。もう。
(本件車掌) ま、前ですか。
(輸送指令員B)列車の運転席まで行ってもらった。前の運転士のとこまで。
(本件車掌) 運転士さん、ちょっと、あのー。
(輸送指令員B)ほならね、今、車掌さんどこにおるの。
(本件車掌) えーっと、一番前の方でなんですけど。
(輸送指令員B)ほんなら、その列車は、その列車はなんで脱線しとるのか。自動車とぶつかっとる
とかそういうことで、そういうことなんですか。
(本件車掌) 自動車じゃないと思います。
(輸送指令員B)自動車ではないけども。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)ほんならね、それ7両編成やわな。
(本件車掌) はい、そうです。
(輸送指令員B)7両編成で前の方はどういう状況になってますか。
(本件車掌) 前の方は、もう、完全にグチャグチャになってます。
(輸送指令員B)グチャグチャになっとるて、何がグチャグチャになっとるの。
(本件車掌) えー、へこんだ状態になってます。運転士さん、運転士さんの方が。
(輸送指令員B)運転士の、一番先頭車がグシャグシャって、意味が分からんのやけど。
(本件車掌) あの、事故におうた車の状態、考えていただいたら分かると思います。
(輸送指令員B)だからそれは、自動車と衝撃してるとかそういうことなんですか。
(本件車掌) 自動車とは衝突しておりません。
(輸送指令員B)自動車と衝突してないのに何で、自動車と衝突していないのに脱線しとるということ
ですか。
(本件車掌) そうです。スピードか、出し過ぎか、あれなんかちょっと分からんですけど。
(輸送指令員B)ほんで、運転士は今どこにいますか。
(本件車掌) 運転士さんですか。
(輸送指令員B)うん。
(輸送指令員B)車掌、5418M車掌、当該の車掌。
(本件車掌) はい。救急車の手配よろしくお願い致します。あのー。
(輸送指令員B)もし。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)車掌さん。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)運転士は、ほな、近くにいますの?
(本件車掌) いや、おら、いないです。
(輸送指令員B)運転士がいない。うん。
(本件車掌) へっこんだ状態になってます。
(輸送指令員B)そんで、先頭車の状況をゆっくりゆうてよ。
(本件車掌) 先頭車は、えーっと、脱線した状態で、横になっております。あの。
(輸送指令員B)大阪に向いて、右側にゆがんでるの。それとも、左側にゆがんでるの。
(本件車掌) 左側です。
(輸送指令員B)左側に向かって、傾いているんだね。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)ほならね、そこに行くまでに、ほんまにね、あのー踏切ありましたか。
(本件車掌) 踏切と、ありますけど、なんもありません。
(輸送指令員B)なんでそれが、先頭車両が、運転席が潰れている状況なのですか。
(本件車掌) そうです。
(輸送指令員B)運転席が潰れている。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)進行方向左側に先頭車両だけが傾いていますか。
(本件車掌) 傾いてー。
(輸送指令員B)傾いてるのは何両目と何両目が傾いてますか。
(本件車掌) 1両目、2両目、3両目です。
(輸送指令員B)1両目、2両目、3両目とも傾いている。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)ほならね、とこ下、床下を見てもらってね。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)台車、車輪はレールからはずれて脱線していますか。
(輸送指令員B)車掌さん。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)車掌さん。
(本件車掌) はい。はい。
(輸送指令員B)現地に、ほな、警察や消防が来とるゆうことですか。もう。
(本件車掌) 来ております。
(輸送指令員B)車掌さん、今誰としゃべっとんのよ。
(本件車掌) 警察の人です。
(輸送指令員B)警察の人来とるんやね。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)うん。
(本件車掌) あの。
(輸送指令員B)とりあえず、私の言うことをね、もう一回整理しますよ。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)車と当たったようなことはないと思うんやけども。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)先頭車両の運転台の方が潰れていると。
(本件車掌) そうです。
(輸送指令員B)それで、前から1両目、2両目、3両目が進行方向左側に傾いている。
(本件車掌) 傾いて、あの、副本線の方に、あの、2両目と3両目、2両目がこっちに傾いてい
る。副本線というか、下りの方に。こちらの方に。
(輸送指令員B)1両目は左側、2両目は何処に傾いておるって?
(本件車掌) 左側です。
(輸送指令員B)1両目も2両目も左側に傾いているね。間違いないね。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)3両目は。
(本件車掌) 3両目は、3両目、3両目はちょっと分からないです。
(輸送指令員B)分からなかったら分からないでいいですわ。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)ほならね、とこ下、床下の台車を見てもらったら、車輪とレールははずれますか。脱
線していますか?脱線はしとんの?車掌さん。
(本件車掌) はい。はい。
(輸送指令員B)いいですか、床下の台車を見てもらって。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)えー、車輪は脱線していますか。まず1両目は?
(本件車掌) 1両目は、脱線しております。
(輸送指令員B)4軸とも脱線か。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)4軸ともね。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)2両目は。
(本件車掌) 2両目は、3両目と2両目の間に入っております。
(輸送指令員B)えー。
(本件車掌) 3両目と2両目の間に入っているような状態です。
(輸送指令員B)何だって、良く分からんな。2両目は脱線しているんですか。
(本件車掌) 2両目、はい。
(輸送指令員B)2両目と3両目が何だってゆうた。今?
(本件車掌) えー、食い込んでいるような状態なっとる。
(輸送指令員B)食い込んでいる。
(本件車掌) はい。
(輸送指令員B)2両目と3両目が食い込んでるんですね。
(本件車掌) はい。はい、そうです。
(輸送指令員B)分かりました。ほならね、今、JRの社員は車掌さんと誰が居ますか。
(本件車掌) えー、運転士さんです。ちょっとお待ち下さい。
(輸送指令員B)運転士にこの電話変わってください。
(本件車掌) はい。
(後続運転士) もしもし。
(輸送指令員B)運転士さん。
(後続運転士) 後続ですよ。
(輸送指令員B)えー。
(後続運転士) 後続列車の運転士ですよ。
(輸送指令員B)後続の運転士さんな。
(後続運転士) はい。
(輸送指令員B)当該列車の運転士はおらんか。
(後続運転士) ぼくも探してるんですけど。
(輸送指令員B)いないの。
(後続運転士) 居ないんですよ。で、ちょっと良く分からないんですけど、もう、電車がグシャグシャ
で、もう、3両分くらいグシャグシャの車両あるんで、何処が先頭車両か、ちと分か
らないんですよ。
(輸送指令員B)あーそ、そんなにひどいの。
(後続運転士) もうグシャグシャです。上下線、上下線に渡って、もう車両がもう横に倒れて。
(輸送指令員B)完全に横転している。倒れてるの。
(後続運転士) 横転というよりも。
(輸送指令員B)傾いているの。
(後続運転士) いいえ、そういう次元ではなくて。
(輸送指令員B)うん。
(後続運転士) 前、一番、えー数えたら3両目くらいは、4両、3両、4両分くらいは、グシャグシャに
なって、なんて言うか、原形を留めずにプレスされて、こう。
(輸送指令員B)ほならね、後続の運転士さん。
(後続運転士) はい。
(輸送指令員B)何が原因だと思われる。
(後続運転士) 僕が最初に思ったのは、車と衝突したように思うんですけど、どうも、その、ぶつか
った相手の車のようなものがないんですよ。回りに何も。
(輸送指令員B)うん。
(後続運転士) 電車の残骸だけが。
(輸送指令員B)うん。
(後続運転士) 散らばっていて。
(輸送指令員B)うん。
(後続運転士) 両脇の線路の、線路のフェンスが、フェンスが、あの、物が突き破って、車道の方
にも電車が飛び出ているんですよ。
(輸送指令員B)よっしゃ、このまま電話を切らんと、このまま待ってよ。
(後続運転士) はい。

まとめ終わり

参考資料

航空鉄道事故調査委員会報告書

西日本旅客鉄道株式会社 福知山線塚口駅〜尼崎駅間 列車脱線事故

これほど踏み込んだ報告書を作り上げた事故調の強い意志と地道な努力に敬意を表さずにはおられません。もちろん、遺族にとっては不十分なこともあると思いますが、これだけの報告書を作るのは並大抵の努力ではできないと思います。本当によくやったなぁと思います。この報告書が無駄にされることなく、より安全性が高まるように鉄道業界、特にJR西日本が動くことを切に願っています。

この記事を見て私は事故調の有用性を鉄道という分野から感じ取ることが出来ました。このような体制を医療などのほかの分野にも是非応用して欲しいものです。

少しずれますが、こんな記事も

時事通信記事:「運輸安全委員会」を創設=事故調と海難審判庁を統合−再発防止を提言・国交省
国土交通省は28日、海難審判庁航空・鉄道事故調査委員会と統合し、陸・海・空の事故調査や分析を横断的に行う独立組織「運輸安全委員会」(仮称)を新設する方針を固めた。特に海難事故について再発防止に向けた提言機能を強化する。これに合わせて外局の抜本的な再編を進め、海運関係の労使紛争を調停する船員労働委員会については、一定の役割を果たしたとして廃止する方針だ。
 同省は観光立国の推進に向けた体制強化のための新組織「観光庁」の設置も検討している。こうした外局再編は今夏の2008年度予算概算要求と組織・定員要求に盛り込む考えだ。

日勤教育:JR西日本が敗訴 最高裁で違法性初認定