医学生の立場

私自身がよく思うのは、医学生というのは医師と一般人の間に位置する面白い立場です。医師たちが話していることは、大まかなことは分かるのですが細かいことについては全然分からなかったり、知識不足で飲み込めないことが多いです。一方で、一般人と比べると解剖・生理を学んだあたりから急速に医学知識を身につけ、いかにも医者の卵という雰囲気になっていきます。同級生と街を歩いていて解剖用語を使ったギャグをいえるのは、医学生ならではです。でも思考パターンは一般人から抜け切れていません。そのわりに医者の思考になった気でいます。

正直、医学生として思うのですがこのキメラなところが非常に面白いのです。医者とも一般人とも違う、時に意表をついた考えが出てくるからです。もちろん、この意見は単なる暴走であったり、読み違えであったりすることも多いのですが、案外その中には論点をついているものや、新たな論点を見出せるものがあります。医学生の意見に対する評価も様々で、一般人からすると医者的思考だと思うでしょうし、医者からすると一般的思考だということで両者から批判を受けることは結構多いです。そういや、授業で今まで医学生を褒めた先生に出会ったことがないですよね〜。一般人からも「最近の医学生は遊んでばっかりだし、大変な科に行こうとしないし(これは医学生の責任ではないと思いますが)最低!」みたいな評価はよくされます。でも医学生というのは受験という点ではそれなりの地位がありますから、一部では周りからちやほやされてうぬぼれる人がいることもこれまた事実です。たまに医学生は多大な期待を背負わされます。「ぜひ〜を研究して治してください」「将来ぜひ私を診て下さい」という声は多いです。これにはぜひ応えたいとは思って研究室に入ってみたりするのですが、基礎と臨床、大学の方針との違いなど色々な障壁があって難しく挫折したり。かと思っていると、ネットでは医師を中心に医療崩壊が叫ばれていて、このまま臨床に進んでもいいのか?ちゃんと一人前の医者として育ててもらえるのか?と不安が募ったり、逆に「じゃあ、僕らから変えていかなければならない」と変に意気込んで行政や公衆衛生に手を出してみたり・・・・・なんか途中からいつの間にか自分の話になってますが、とかく医学生というのは個人個人でもすごく多様な人が多いですし、置かれている環境も普通の学部生とは違うものがあるので、本人は結構悩んでいるんですが、客観的な視点に立つと面白いなぁと思ったりします。それゆえに、何か面白い視点を提供できるのではないかと自分なりの意義を求め続けているわけですが・・・。

これを味わえるのが6年かと思うとちょっぴり寂しくなります。