どう見ても嫌がらせ
置き石:ポイントや線路上に150個 阪神電鉄甲子園駅
置石というのはいたずらとか興味本位でやる人が多いようなのですが、これはどう見ても嫌がらせですね。阪神では先日も置石があったみたいで、何か恨みを持つ同一犯とも考えられます。
ちなみに鉄道システムはフェールセーフシステムがある程度きっちりと考えられているため、ポイントを切り替えるときに
- ポイント上やポイント直前に走行中の列車がいないか(途中転換を防止)
- ポイントを切り替えたときにすでに構成されている別の進路と拮抗しないか(連鎖)
ということを軌道回路というレールを使った電気回路で確認した後に、鎖錠というロックを解除し、ポイントを切り替えることになります。
さらにポイントを切り替えた後も
- ポイントが正しく切り替わったか(転轍機動作確認)
- 切り替わった後に固定されたか(転轍機鎖錠確認)
- ポイントを切り替えた進路の先に別の電車がいないか(衝突防止)
- 踏切が先にある場合、遮断機が閉まっているか
を確認して当該進路の信号機を反位(青信号)にします
さらに青信号にした後も、信号が正しく切りかわったかを確認し、異常があればコントロールルームに連絡がいくようになっています。
これらを機械が全部やってくれるんですね。だから、今回のようにポイントが切り替わらなかったときも事故には至らなかったわけです。ただし、設計や機械の制作段階でミスがあると大変なことになります。最近はこういう機械もコンピュータを利用していますから(電子連動装置)、コンピュータの故障にも備える必要があります。重要な部分にはコンピュータが3台使われていて、それぞれ2台が出す結果を3通り比較し多数決を行うことにより安全性、冗長性を担保しています。
昔は簡単な連動図表も書けたんですけど、もう書き方は忘れてしまいました。けれども論理性が強く求められる装置だけに調べていて非常に面白かった気がします。
ちなみにどうでもいい話ですが、静岡にいたときに時間を見つけて箱根登山鉄道に乗って強羅まで行ってきました。前から乗りたかったのですが、なかなか時間や機会がなかったわけで、ようやく5年間の念願がかないました。かつては箱根登山は小田原まで来ていたのですが、三線軌条が面倒くさくなったのか小田原駅の容量の問題なのか、営業運転は強羅−箱根湯本となっていて、箱根湯本−入生田(車庫)間だけ三線軌条が残っています。三線軌条の連動図表はおそらく特殊でしょうから、かなり興味があるところです。湯本から強羅までは80‰の急勾配が何度も続きます。8%の坂といえば自動車でも相当な下り坂ですが、この坂を鉄同士の摩擦を利用して登っていくのですからまた驚きです。粘着鉄道では日本一、世界でも二番目だそうです。世界一はオーストリアのペストリングベルク鉄道で105‰だとか。なお、かつては信越本線の碓氷峠66.7‰もあったのですが、長野新幹線ができてから廃止されました。近くには神戸電鉄が50‰の急勾配を持っています。
箱根登山にはスイッチバックも何回かあります。ここではすばやくスイッチバックが出来るようにスプリングポイントを利用しているようでした。小学3年の頃、阪急の嵐山線で初めてスプリングポイントを見たときは脱線するかと思いましたけどね。箱根登山には更に半径30mという超急カーブが存在します。このカーブを通過するために車体は15mに抑えられています。ただ、それでも外側のレールにかかる負担は相当なものらしく、散水を行って車輪の磨耗を防いでいました。散水スイッチは運転台にあるのですが、スイッチを入れてほとんどが5秒以内に切っていましたね。したたる水や車輪に付着している水である程度は持つようです。当然、電磁圧着ブレーキの作動は見ることができませんでした。
とかく、故障すると本当にどうなるか分からないので、安全には最大限気を使っているようでしたね。