バブルを知らない世代

私たちの世代はバブルというものを全く知らない世代です。いったい、バブルってなんなのか?なんでそんなに何もしなくても金が舞い込んできたのか、収益の限界を超えて土地や建物の価格が高騰したのか、本で多少のことを知ることができても、その実態・実際というのは知る由もありません。
むしろ、山一證券の「社員は悪くないんです。私らが悪いんです」会見とか「日経が1万円を割った」とか、そういうものは強烈に記憶に残っています。山一がつぶれた頃は、僕は小4ぐらいでしたが、野沢社長の名前もあの涙顔もいまだに覚えています。

さて、私のいきつけの散髪屋さんは、比較的若い方なんですが、いろいろなお客さんと長時間接しているからか社会問題とかにも詳しくて、「地方公務員の事務職は仕事をしている人間としない人間の差が激しすぎる」という話になったときに、「役所に行くと、40代後半以上の管理職と30代前半以下の若い職員ばかりがいる。霞ヶ関でもそう。30代後半〜40代前半はいったいどこに行ったんでしょうね」という疑問をぶつけてみると「真ん中の世代はバブル世代だから「公務員なんてバカが行くところ」という感覚が強かったのだ」ということだそうです。

なるほど、バブルでは公務員はとことん美味しくなかった職業だったわけですね。まぁ当たり前ですが。確かに、かつて中高で聞いたOBのNHKアナ、松本和也氏の講演会では「僕は一浪で京大の経済っていう、いわゆる落ちこぼれだけど、当時は大企業から就職前の学生を勧誘して高級レストランに連れて行っていった。で、私もそれでJR西日本への内定が決まっていた」という話を聞きました。それでもそれを蹴って乗りで受けたアナウンサー試験に受かってNHKへ行ったところがあの人らしいですが。もっとも、あのままJRに就職していたら、久々知のマンションの前で何十人の社員と一緒に頭を下げている羽目になっていたでしょうが・・・。

まぁ、バブルって異常な世界だったんだなぁとその時は思いました。でも、散髪屋さんいわく、「いつから始まっていつから終わった」というはっきりしたものはない、強いていうなら1980年代から1990年代前半がバブルといえる時期なのだ、そうです。もちろん、地域的な差、業種による差はあるだろうということは予測していましたが、それでもそこまであやふやなものだとは想像できませんでしたね。
とかく、バブルでは企業に就職すると、僕らの感覚からすると世界が違うんじゃないかというほどの好待遇の時期があったことは確かのようです。

なら、今の公務員バッシングってちょっとおかしくないか?と思うわけです。特に天下りの議論です。だって、公務員バッシングしている連中って、バブルでいい目に合った奴らでしょ。いい目をしたんだから不況で苦しんで当然。当たり前の摂理を受け入れろ、っちゅう話なんですよ。むしろ、バブルで憂き目をあった公務員が天下りでちょっとした甘い汁を吸うのは全然問題ないんじゃないかと思いますね。まぁ、バブル崩壊から10年近くたって、両者の調整期間もある程度経過したことだし、今後は是正する必要はあると思いますが。

こうやって見ていくと、世代と意識の問題って深刻な溝を生みかねないなぁと思います。世代って5年、10年離れるだけで全然違いますからね。ちなみに僕が一番苦手な世代は今、30才ぐらいの人間ですかね。いわゆる団塊ジュニア世代です。他の世代とは結構うまくやれますが、あの世代は付き合いにくい。というか、両極端なんですよね。とても付き合いやすい人と付き合いにくい人のギャップが大きいのが特徴です。ちなみにうちの母親も非正規雇用で働いていますが、あの世代にはなんか違和感を感じる時があるそうです。特に普通に会話していて、突然、ちょっとしたことで攻撃的になるところとか。
私らみたいに、「しけた」世代にはよく分からない感覚です。

あと、下の文章の補足にもなりますが、私らの世代では「イメージ低下」というのは致命傷です。程度の差こそあれ、即、いじめの対象になります。私も何度となく経験しましたけどね。我々の世代では「目立たず、何もしない」ことが一番の安全策です。もっとも私は生化の教授いわく「ユニーク」な人間だそうで、それが決して好きではないんですけれども。でも、その状態といじめられないということを両立させるには、あえて本業からわき道にそれるか、本業で勝ち続けることが絶対条件になります。公立の小学校では本業で勝ち続けていました。超難関校の中高では主にわき道にそれて本業では目立たないようにしていましたね。
でも、医学部では人の命を預かる身としてはそれはおそらく許されない。おそらく両方、極めるしかないのかなと最近思っています。