NHK、なぜ深夜なのか

さっきテレビを見ていると、「民主主義」という番組をやっていました。今回はインドとパキスタンにおける民主主義やグローバリゼーション、近代化の光と影を取材するというドキュメンタリー番組で、33ヶ国のジャーナリストが共同制作したものです。日本では珍しい政治に関するドキュメンタリーですが、総合テレビではなぜか深夜です。もちろん、新喜劇のように見ていて楽しい番組ではないことは確かですが、今回の番組はムシャラフ大統領との討論があったりとかなり良質でした。なぜこれだけ良質な番組をゴールデンタイムに流さないのか。BS放送の時は11時とまだ見やすい時間帯に設定してあるのに。金を取れるBS視聴者以外には良質な番組を提供しないという方針なのでしょうか、それとも番組内容がポリティクスに関わるため?しかし、民主主義のあり方や疑問についてはこれからの日本を考える上で非常に重要です。国民はもっと考えなければならない。国のあり方に何らかの信念を持たなければならない。公共放送たるNHKには国民をより賢くする義務がある。あの番組を深夜に流すということ自体、その義務を放棄しているように私には思えます。

ただし、国民が賢くなれば統治はやりにくい。これは確かです。少なくとも、考えない国民は制御しやすい。となると、NHKがこういう国民を賢くする番組をわざと深夜に流している可能性も考えないといけないかもしれませんね。単に視聴率が取れない、放送枠がないというだけかもしれませんが。

あと、最近感じていることですが、これからは宗教の時代だと思いますね。
世界の各地で近代化と都市化が進んでいます。しがらみも多かったが人とのつながりも濃かったムラ社会は崩れ、都市では人はアイデンティティと人との何らかのつながりを求めたがる傾向にあります。多くの国でそういう人の「つながりたい」という願望の受け皿となるのは宗教です。宗教は辛いときの心の支えになると同時に自らのアイデンティティ形成の手助けをします。人々は宗教に頼ることで、都市化で失われたものを取り返します。中にはイスラム原理主義のように過激な思想を唱えるものや、政府の手が届かない領域の医療や貧困対策を宗教が担うこともあります。宗教の守備範囲が広がると当然、政治にも宗教が絡んできます。アメリカのキリスト教福音派メガチャーチ、世俗国家におけるイスラム主義政党の台頭などは典型的な例です。
新興国が発展し、格差も広がるなかで宗教の重要性はますます高まっています。日本人の場合、宗教精神が乏しいのでそんな実感はわきませんが、スピリチュアリズムの大ブレイクからも分かるように日常生活において宗教的なものの重要性はやはり確実に増しています。特にキリスト教イスラム教といった宗教とこれからどうやって付き合っていくか、日本にとっても世界中の国にとっても大きな課題となることでしょう。