肝細胞癌=アルコールは間違い

今日は両方ともの授業がHCV絡みのものだったのですが、衝撃の事実が・・・
肝臓癌の原因は90%近くがウイルスによるもので、アルコールによるものと思われるものは10%程度しかないということです。

痛恨の一撃を食らった感じでした。ある意味、これが医学生が知らないといけない知識の代表例なのかもしれません。世間では肝疾患=アルコールのイメージがあるだけに、かなりショックでした。もちろん、アルコールが肝硬変や肝臓癌のリスクファクターになるということは変わりないんですが。

しかも、このHCVC型肝炎ウイルス:hepatitis C virus)、実は発見されたのは1989年なんだそうです。僕が生まれた後ですよ。もっと大昔に発見されていたのかと思っていたんですが。したがってそれ以前に輸血を受けた人は必然的にHCV感染のリスクがあったということですね。

HCVは血液を介して感染するので、たとえば覚醒剤・麻薬のまわし打ち、売血献血制度が出来る前は血を売って生活していた)などによって感染が広がります。日本では戦後の荒廃した時期にこれらが流行り、一気に広まったと考えられています。しかも、西高東低という特徴があり、西日本にはHCV感染者が非常に多い。今日の先生曰ですが、それは「山口組が主に西日本に拠点を置いていたからだ、としている真面目な論文もある」のだそうです。とかく戦争に負けたりして国民がヤケクソになると麻薬や覚醒剤に手を出して、HCVが広がるという傾向があるらしく、ベトナム戦争時代のアメリカ人にHCVが流行っているとか、アフガン戦争時代の旧ソ連諸国にHCVが広がっているという事実があるそうです。戦争と病気・・・切っても切れない関係なんですね。

とかく、今日の授業は色々常識を打ち破られて、自分の正しい知識のなさに愕然とさせられました。