大きな組織は動かすのが難しい

当たり前のことを述べているだけなのですが、政府を簡単に批判する方々にはこの認識が不足しているのではないかと思わされることが多々あります。
「単純なことだ。〜すればいいだけじゃないか」
という発言なんかはまさにそれを物語っているわけで、大きな組織が〜するのは数十人の規模の組織が〜するのとは比べ物にならないほど煩雑な手続きになったり、激しい力のせめぎあいというものが生まれるわけです。

さらに、問題に関心がなく、あまり考える力がない人間が100人集まるのと、問題に関心があって理屈をこねるのが好きな人間が100人集まるのでは、まったく決定のプロセスが違うといっても過言ではありません。前者では100人の中でもリーダー格の数人が〜すべきだと合意すれば、その決定はすぐに実行に移されますが、後者ではたとえ幹部が合意をしていても、残りの多数から「〜したら〜という副作用が生まれる」というような声があちこちで聞こえてくるわけです。幹部たちはそれに対していちいち答弁をして説明する必要がありますし、それにすべて応じているとあっという間に数時間が経ってしまいます。もし、そのような中で有意義な決定をしようと思えば、多少の修正は認めたとしても、結論ありきで強行に進めるよりほかありません。好き勝手に討論をさせていれば何年たっても議論はこう着状態のままです。

数人〜数十人規模で仕事をしている組織の常識は、数千〜数万人規模で仕事をしている組織の常識とは異なります。もし、「〜すればいいだけじゃないか」という論理が大規模組織でホイホイと通用するなら、大企業病なんて言葉は使われようがないし、そんなことで頭を悩ます人もいないのです。