選択肢に問題あり

日経メディカルオンラインの
「一番問題なのは、医者?役人?それとも患者?」
で医者18%、役人65%、患者17%だったそうで、本田氏が国民も分かっていると評価していますが、ここには国民とか政治家という選択肢はないんですね。私なら国民と政治家に一票を入れますが。

役人は僅かな幹部を除けば一人ひとりの権限がある程度制限されており、全体を見渡して何かをできるというシステムにはなっていません。いわゆる縦割り行政です。これが医療崩壊の一つの原因であることは否めませんが、そもそも縦割り行政のシステムを法的に担保したのは立法府の政治家であり、その政治家を選出したのは紛れもなく日本国民です。土建かなんかは知りませんが、利権運動で55年体制をいつまでも支持してきた国民(役人も患者も医師も含む)に大きな責任があるとしか思えませんがね。

さらに国が管理する国民皆保険というシステムは、国民が自らが管理しないことから制度に関心を持たず、保険料の増大に強く反対する傾向があるため、勝手に増大し続ける医療費を抑える必要があり、管理者である役人と医師会はかならず対立する運命にあります。そのしこりも医療政策には少なからず影響しており、結局はシステム上の問題じゃないの?という気もします。もし、国民が直接管理していたなら国民と医師との間で発生していたであろう鋭い対立を、役人が身代わりになって被ってくれたと考えることもできます。

いつも思うことですが、役人を批判したとしてもその後が問題です。もし、役人に大きな問題があるのならば、保険制度の管理から役人を外して企業がバックについている健保連に任せればいいことになりますが、それはそれで今より酷いことになるのは目に見えています。かといって、役人が変われるかというと、アレだけたくさん多様な人間が入省して政治家からの介入も受けているのに何十年似たような体制でやってきたのですから、行政システム(これは政治家がきちんと管理をしないといけない)が抜本的に変わらない限り変わるわけがありません。むしろ論点を履き違えた過剰な役人叩きでやる気を失いつつある始末です。問題が起きても放置が増えて、ますます酷いことになりかねません。

役人もそうですが医療界も国民も互いの立場に立とうとする意識が生まれなければ何も変わらないと思いますがね。しかしながら適当でいい加減な選択肢を提示したものです。