毛を嫌う理由?

久しぶりに母校の部室に行くと、某君が「児ポ法規制反対」というのをためらいなくホワイトボードに書いていましたが(まぁ予想通り反対運動が起きているわけで)、それを見て考えたことを少し。

欧米人などはどうなのか知りませんが、「毛」というのは日本人にとっては「汚らわしい存在」とされがちです。たとえば、多くの女性は体毛を嫌い美容外科で脱毛手術をしてもらいますよね。いわゆる体を見せ付けることが多い俳優やタレントで体毛が濃い人はあまり多くありません。また、僧侶は髪の毛を剃る事で神聖さを維持しているように見えます。ヒゲは剃らないと汚く思われるケースが多いですね。さらに児ポ法に関連するわけですが、いわゆるロリ・ショタの文化では「毛がない」ということにこだわる人も多いようです。それは「毛がない=うぶであることの象徴」という考えに基づくようですが、これは逆に言えば毛が穢れているという意識の表れでもあるわけです。

で、疑問に思ったこと。なぜ日本人は毛を嫌うのでしょうか。視覚的な観点で言うと、毛というのは日本人の場合、肌色という明色の背景に細くて無数の黒い線が入った状態になるわけですね。ディスプレイでもそういうラインが入ると「ノイズだ」と瞬間的に反応してしまうわけですが、単一な色の連続を綺麗だとする日本人の美的感覚がどうやら関連してそうです。もちろん、日本人の体毛が最も暗い色の黒色であるということもあると思います。老人の白い毛や外人の明るい金毛にはあまり汚いというイメージはないですからね。黒い、あるいは暗色であるというというところが毛が嫌われる一つの理由でもありそうです。

衛生面ではどうかというと、毛にも皮膚表面と同様に細菌やゴミが付着するということから、病原体が接着可能な表面積が増える・抜けて飛び散ることがあるという点で体毛は衛生的とはいえないのかもしれません。実際に手術では付近の体毛を剃り、その上でイソジンで消毒することが一般的です。ただ、皮膚の表面にもたくさんの細菌が存在していることは確実で(細菌培養培地に指先を付けると、黄色ブドウ球菌とか生えてきますよ)、「肌は綺麗で毛は汚い」という感覚は間違いだと思いますね。肌も毛も汚いです。あと、しらみ等は毛の茂みに隠れやすいので、その点ではより毛の方が汚いのでしょうが。

あと、深層心理として一つ考えられるのは進化的な側面でしょうか。すなわち、動物は体温保持のため、紫外線防御のために毛を持つわけですが、人間の場合、衣類が保温に使えるということもあり、体毛を脱ぎ捨てていきました。結果として「体毛=遺残物。古い」という深層的な観念があるのかもしれません。それゆえに、毛は嫌われるのでしょうかね。個人的に人間がもっと毛をつけていてたら、温暖化もそこまで進まないのではという気もしますが(暖房代は家庭の消費するエネルギーの中で多くを占める)

しかし、不思議なことはなぜ、人間が体毛を捨てたのかということです。というか体毛が細くなったのかということです(本数はサルと変わらないか多いらしい)。体毛を作るエネルギーが飢餓時に致命的だったのでしょうか。それとも発汗との関連なのでしょうか。「寒冷地では息で毛が凍って凍傷になる」という説を唱える人もいますが、ヒゲだけならばその点は理解できますが、なぜ体毛まで薄くなったかということを説明するには至りません。ペンギンやホッキョクグマの体毛も薄くなってもいいはずですからね。色々、説はあるようなのですが、どれも決定的な証拠に欠ける感じです。というか、エネルギー消費の状況を見ていると毛を薄くしたのは失敗だったような気がしてならないのですが。もっとも本気で地球温暖化したら正解だったということになるのかもしれませんが。