道路の替わりにモノレールはいかが?

テレビを見ていたら、奥多摩の山中で一人暮らしをする高齢者に関する番組をやっていました。道路も通っていない山中に家が1軒という、まさに正真正銘の僻地なわけですが、林道から家まで福祉モノレールという小さなモノレールが設置されており、20分ぐらいかけて山頂付近にある家まで登って行くのだそうです。2本レールのため設置コストはmあたり2万円(20万とか言ってたような気もするが設置距離から考えて計算が合わない)ぐらいで、町はこの種のモノレールを何箇所かに設置して9000万円ぐらい使ったそうです。

都会人からすればそこまでして今の家に住みたいのか?と思ってしまうわけですが、どうも僻地がなかなかなくならないことから考えても、高齢者の「住み慣れた場所にいたい」と思う気持ちは並大抵ならぬものがあるようです。

で、この種のモノレールはもともと林業やみかん畑農業に使われる作業用モノレールを改良したものだそうですが、これを利用すればわざわざ大掛かりな道路を作らなくてもこういった極小集落の生活を成り立たせることができるんじゃないかと思うんですね。どういうことかというと、地域の県道等を走るバスをちゃんと残しておいて、そのバス停から集落までをモノレールでつなぐと。そうすれば車の運転できないor足が不自由な高齢者でもバス停まで降りてくることができますから、案外とバス需要も掘り起こせるのではないかと思うわけです。さらにムダに集落へ大きくて道路を作らなくてもいいですし、集落が最終的に消えて不要になれば撤去・再利用もできる。道路は斜面を長距離に渡って掘り返して平らにする必要がありますが、モノレールなら杭を打ち込むだけ。しかも、傾斜は45度(1000パーミル)付近までOK。さらにカーブ半径が小さいので木を切り倒さなくても済むというメリットもあります。分岐装置もあるようなので、なんならあちこちに設置しておいて必要に応じて切り替えるという手段もありそうです。

ただ、問題は安全性でしょうかね。いくつか課題があると思います。鉄道での例を考えるとある程度安全対策は思い浮かびますが

  • レールが折損した場合、土砂崩れで寸断されていたときの安全確保

→レールに電流を流して常に接続を確認?

  • ラックや歯車等駆動部の保守点検(たまに死亡事故が起きている)

→巡回点検の実施?・・・車両の点検だけで済むのならコストは安いが、路線全体にわたって点検するとなるとコストもかさむはず

  • 身を乗り出すなど予期せぬ行動による事故(子供などに多い)

→教育をする、乗用カゴにちゃんとしたドア取り付ける、フットペダルを踏んで握りバーを握っていないと自動停止(デッドマン装置)

  • 荷物の片積みなどによる脱線

→レールを2本にする?(コストもかさむが)

  • ブレーキが効かないことによる暴走

→3種類以上のブレーキ併用。登山鉄道では電磁圧着ブレーキを採用していることも多い。あとは全ての車両にブレーキをつけることか

まあ、でも鉄道やバスとは違って個人宅や集落での運用になるので、点検がきちっと行われるかという問題についてはなかなか難しいものがありそうです。

ただ、これ僻地用だけじゃなくて都会のちょっとした斜面や階段なんかでも利用できそうなんですよね。案外、色んなところで使えるかもしれないなぁと思ったりしています。