中国がとうとう

今年にも日本を「逆転」へ 中国が名目GDPで
とうとう来たなぁという感じですね。アメリカ、日本・・・ではなくアメリカ、中国、日本・・・になるんですね。
最近、「小泉竹中が日本の格差を広げた」という論調を目にします。確かに非正規雇用が拡大しましたし、基本的に資産を持っている投資家に優遇措置を講じたのも小泉政権です。その一面だけを見れば、「あいつらが悪い」と指を差すこともできるでしょう。
しかし、私はそうとは言い切れないんじゃないかと思っています。彼らは格差拡大のスピードをわずかに早くしたにしかすぎない。もとはといえばグローバル化の進展で国の壁がなくなり、いわゆる南北問題と呼ばれる先進国と発展途上国間の問題が、先進国内部に入り込んできたというのが格差社会の根本的な原因であると私は考えます。特に巨大な人口と国土を抱える中国がすぐ近くにあり、急激に成長したことで、日本は多くの仕事を奪われました。中国の貧しかった人々が中国の成長とともに裕福となり、いまや富裕層と新たに出現した中産階級は数千万から1億人以上いるといわれています。もし、経済が成長しなければ日本人全員が貧困層に転落してしまうほどの人数です。幸い、経済が成長しているので完全なゼロサムということにはなりませんが、世界レベルで見たパイの成長率に比べて中国の成長スピードが速いため、その分を中国国外から吸収する構図になっているのでしょう。一部の中国人が裕福になったために、日本で貧困層が増えている(特に一部中産階級の没落)可能性はかなり高いですし、それは地理的に中国のおソバにある日本としては避けられない問題でもあります。日本は中国が猛烈に成長している限り(相対的に)貧しくなる運命なのです。

では日本ではどうしたらいいか。大きな選択肢は2つあると考えています。

  1. 大きな政府外資規制と累進課税の強化により国民の平等性を高め、全体で貧しくなる
  2. 小さな政府、グローバル化の促進、企業・投資課税の低減により、成長できる者は成長する

平等主義が多い日本人には一見すると上がいいようにも見えますが、全体を貧しくすると成長希望のものは海外へ流出したり、やる気を失って、(共産主義国の失敗のように)全体のパイが少なくなってしまうという欠点、それから大きな政府にすることで行政コストが増大するという欠点が存在します。

この構図で見ると自民党は1番目と2番目が入り混じった状態。民主党は主に2番を中心とした政党と見ることができます。共産党社民党は1番が多いような気がします。小泉さんは完全に2番ですね。国民は基本的に2番を選択していると私は考えています。確かに福祉医療を充実させて欲しいという要望はあります。しかし、公務員バッシングやガソリン税暫定税率の根強い反対など昨今の状況を見ていると、政府の巨大化や増税にはそれよりももっと強く反対しているということが言えます。どう見ても増税や保険料率を上げてまで医療福祉を充実させてくれ、と言っているようには見えません。従って、原則的に国民は小さな政府を望んでいると考えられます。

さらによくよく考えれば小泉さんを熱狂的な支持率で支持したのも国民です(あの時は政党も何も関係なしに高い支持率でした。竹中氏が参議員に立候補したときは比例にもかかわらず投票が終わった瞬間に当確でした)。国民は小さな政府とグローバル化、格差の拡大を自ら望んだことになります。もちろん、それを間違っていたと反省して「じゃあ今度はそれとは逆の人を選ぼう」というのなら、理解はできますが、それを「小泉竹中のせいだ」とするのはあまりに国民として無責任な態度だと思います。はじめから彼らを支持していなかった人は別として。