中央によるコントロールは必要か?

報道等を見る限り、どうも感染確定者が大量に出ている関西地区と、一人とか二人のレベルの関東地区では、新型インフルに対する意識や考え方がズレているように思います。厚労省は相変わらずの「一度決めたマニュアルはなるだけ変えたくない」主義を貫いていて、通知を出して中央から現場である地方をコントロールしたがっています。しかし、地方では中央からは想像もできないようなことが実際に起こっているわけで、一部の自治体の中には厚労省の思惑を無視して行動するところも出てきました(やればできるじゃん!)。さすがにこれを「行動計画違反だ」といって、認めないわけにもいかないので、厚労省もそれをしぶしぶ追認している、というのが現状かと思われます。

感染症というのはべた塗りをしたように全国に一律に広がるものではありませんから(季節性のインフルでも地域によって差があるので、都道府県ごとに注意報とか警報を出している)、対応策は地域と時期によって変えるべきなのは言うまでもありません。

そもそもなぜ厚労省は全国一律を前提とした対応を考えていたのか、その間違いを指摘する専門家はいなかったのか。そもそも公衆衛生、医療行政に於いて厚労省という東京しか見えない中央官庁が司令塔となる必要があるのか、その辺が私の中では疑念として渦巻いています。

このブログでも何度も言ってきたように、医療行政や公衆衛生行政は原則道州単位(出先機関がある地域単位)で行うべきです。今回の事件を見ても、道州レベルでの対応が必要であることは明らかでしょう。

中央は情報の提供、指針の提案をするだけ十分で、通知でガチガチに固めた行政コントロールを行う必要はないのです。実際、彼らも人手不足でもはや地方をコントロールするだけの余裕を持ち合わせていません。超多忙の企画法令に疑義紹介かけるぐらいなら地方で解釈を判断しろ、というのが本音ですが、いざ地方に全面的に権限移譲しようとすると抵抗するんですね。

子供を手放したくない親と似ています。子供はもう自分の手に負えないことは分かっているのに、いつまでもコントロールしておきたい。ある程度は自由にさせるが、いざという制御のために手綱は握っておきたい。そのように捉えることもできます。
しかし、この状態が長く続くと親子関係は険悪になります。子供は自立したいのに何かしようとすると親から干渉されるし、その不満は親に直接ぶつけられるからです。実際に、すでに地方と中央は相当な犬猿の仲です。
一番よい方策は親(厚労省)は子供(地方)に干渉しないこと、見守ること、そして何かあって子供が頼ったらアドバイスを与え、温かく迎えることです。それができないとなかなかスムーズで住民ニーズに合った行政というのは実現できないのでは、と私は思います。