本質を何も分かっていない産経新聞と、本質にゆるりと触れた読売新聞

個人的に私の新聞の総合的評価(色々な面での信頼度)は
日経=読売>産経=朝日>毎日
なんですが、今回の事故調問題に関して言えば、やはり読売が方向性はともかく、しっかりと本質に触れてくれています。
一方で、産経は構造上、システム上の問題も一切無視していつもどおりのマスコミ体質です。


【主張】JR西報告漏洩 あってはならない癒着だ(産経新聞)
→「報告書を受けたうえで、警察や検察が刑事責任を問えるかどうかの捜査に乗りだす。」は完全な間違い。そもそも事故調報告書は刑事捜査の前段階にあるものではない。航空事故調査委員会に引き続き、鉄道事故調査委員会がつくられた理由は、信楽事故において警察が事故調査を独占し、証拠を押収したため、国交省や遺族側が原因や再発防止の対策を探りたくても証拠が開示されず、真相が分からないという問題があったためである。海外、特にアメリカではこの種の事故は、警察よりも国家運輸安全委員会に調査の優先権が与えられているが、日本では調査権限が欲しい国交省と捜査権を失いたくない警察庁との間で激しい権力闘争がなされた結果、調査と捜査が対等・同時・補完の関係に行われる仕組みになってしまっている。(警察庁事故調査委員会との間の犯罪捜査と航空事故調査に関する覚書、昭和47年)

福知山線事故の報告書漏えい、なぜ今公表?(読売新聞)
さすが読売は覚書の存在にちゃんと触れています。

ちなみにアメリカでは事故調査に関係者が参加する仕組みになっています。やはり情報を隠さずに事故調に提供してもらうためには、お互いの信頼関係が重要ですし、安全委員会は事故後の対策についても当該組織と意見を交換できた方がいいわけです。中立・公正はある側面では重要ですが、それにこだわりすぎて、完全な接触禁止の方向に進むのはよくありません。新聞各社が何を書こうと勝手ですが、官僚たたきによって、官僚が現場との接触をやめた結果、現実離れした政策が次々と出されるようになったという、過去の失敗を繰り返すようなことはやめていただきたいと思います。