阿修羅ってなにもの

最近「小沢」「独裁者」「民主党」「ナチス」というキーワードで検索することが多いのですが、引っかかってきたのがこの掲示
阿修羅
民主党を盲目的に支持するおバカさんの集まりかと思ったら、ワクチンとかについてもいろいろ書いてますな。どうみても馬鹿げた記事ばかりですがね。偏った似非エビデンスばかり集めた糞記事です。データってのはもともとばらつきがありますから、全体の傾向を見ずに特定の主張に沿うデータばかり集めれば、彼らのような極論でさえも「あたかも正しい」ように見えてしまいます。彼らはそれを利用しているのでしょう。
しかしながら、他の板も色々とのぞいてみると、この掲示板どうやら陰謀論者の集まりのようです。

私はこの掲示板を見るはるか以前から、陰謀論者こそもっとも愚かな人種の一つと考えてます。確かに陰謀論はストーリーとしては面白いですが、実際に陰謀と呼ばれるようなことが起こることは稀です。

第一に、陰謀が陰謀として成立するためにはそれに携わる人々の間でかなり厳しい緘口令が引かれる必要がありますが、皆さんの周りを考えてもらったらわかるように「言ってはいけない」ことをちょっと時間がたてば平気でしゃべる人は5人に1人ぐらいはいます。酒が入れば3人に1人ぐらいがしゃべるんじゃないでしょうか。よく国政に官僚による陰謀があるなんてことが言われますが、官僚は仲良くなれば意外と色々な情報をリークしてくれます。民主政権になってからは知りませんが、新聞記事なんかで「〜の見込み」という記事が出るのは、ぶらさがり取材による官僚からの情報がもととなっているケースが多い。中にはリークする時の快感からか、喜んでリークしている人もいるようです。

もし、本当に政府の政策が彼らの言うように複雑な陰謀で動かされているとしたら、そういう情報をしゃべる官僚や関係者がかならず何人も出てきます。少なくとも日本では、軍事機密ならともかく、政策情報をリークしたって軍隊が来たり、警察に逮捕されることはほとんどありませんから、こういう人間が出てくるのを武力でねじ伏せることはできません。よって、政府内で陰謀が行われるとすれば意思決定に少人数しか関わることができない政策です。国民生活に密着した政策ではそういうのは不可能でしょう。先日、外務省の核密約の問題が明らかになりましたが、これも外交という国民生活とは無縁の次元で行われたものでした。これも事務次官レベルでの機密事項でしたが、結局しゃべる人が出てきちゃいましたよね。多くの国内政策は次官よりはるか下の課長補佐クラスで策定され、課長レベルで承認されていますから、緘口令を徹底させることは到底不可能です。そうやって「どうやって陰謀を成功させるか」というプロセスを考えれば、いかに陰謀論が荒唐無稽なものか自然と分かると思います。たまに内部での勘違いや心理心情によるちぐはぐな政策が、陰謀に見えることはありますけどね。

あと、陰謀でもないことを陰謀らしく言うのも陰謀論者の特徴。たとえば、独法が設立されたことを天下り先を作るための官僚の陰謀であるという人がいますが、学歴の割に低い給料で働かされた上に、慣習として早期退職を強いられる官僚たちにとって給料がそれなりに高い再就職先が必要であることは言うまでもないことです。ですが、彼らの身に叩き込まれている仕事のやり方では、一般企業での再就職はなかなか難しい。業界団体という手もありますが、最近はこの手の再就職には批判が多く、ポストも減少気味です。このことから考えて、天下り先としての独法を設立することは必然だったと言えますよね。政府の一部の仕事を独法にアウトソーシングするついでに、天下りポストも作っちゃおうと。陰謀でも何でもなく、私が官僚の立場だったら間違いなくそうしてます。

そういう「〜するついでに自分に有利なこともしちゃおう」というのは人間心理として当たり前のことだし、頻繁に見かけることです。たとえば、「会社の金で飛行機出張するけど、マイレージは黙ってちゃっかり貯めて、いつか旅行にいこう」とか「この一区間、実際は歩いてすぐの距離だったけど、電車に乗ったことにしてその分を請求しよう」とかね。周りにもそういう人はいっぱいいるでしょうし、そういうことをした経験がある人がほとんどでしょう。スケールは違いますが、同じことですよ。自らの権力の及ぶ範囲、ごまかしのきく範囲で「ちょっぴり」自分を優位にする。彼らもそういう感覚で天下りポストを作っているのです(逆にいえば、いつもスケールのでかい仕事ばかり扱いすぎて、そういう感覚になってしまっていることが問題なんですが)。

これを陰謀とするのは馬鹿げています。会社に内緒でこっそりマイレージを貯めることが陰謀ですか?へそが笑いますね。その程度のことを陰謀に仕立て上げ、疑心暗鬼を自己増幅させているのが陰謀論者なのです。

世の中まかり通っている陰謀論は全くの嘘か、嘘でないにしても、ちょっとした利己心や部局や個人の嫌悪感情で片づけらるものがほとんどです。