意思疎通が難しいことのストレス

佐用の事件ですが、私には思い当たることがあります。病気以前はとても元気だったのに、入院してからは精神的ストレスからかほとんど口をきけず、表情も出せない、時々そういう患者さんには出くわします。診察するときも「診察させてもらっていいですか?」と声をかけるのですが、うなずいてくれることもほとんどないので、了承をもらったという前提で診察をさせてもらうこともしばしばでした。あの時は結構ストレスでしたね。本当は診察が嫌なのかもと思う一方で、診察しないと状態が把握できないというジレンマ。手術とか麻痺等でしゃべれないわけではないゆえに、余計に色々悩みました。
結局これといった解決法を見出せたわけでもなく実習期間が過ぎてしまったのですが、今でもこれで仕方なかったんだという思いと、何か別のやり方があったのでは、という思いが交錯する時があります。もちろん、じっとそばにいて話し出すのを待つという選択肢もあるわけですが、距離感的にどうなのかと思ったり。

こういうときに研修医の先生とそのことについて色々と話せたことは、随分ストレスの軽減に役立ちました。あれがなかったら正直、実習をあきらめて診察に行ってなかったかもしれない。サポート体制の有無はきわめて重要なファクターだと思います。