人間をプログラミングする

後たたぬ患者虐待 高齢者虐待防止法の改正を
なぜ、この事件をもってして法改正という発想になるのかがまったく理解できませんね。馬鹿かこいつは。

私はかつてよくプログラミングをしていましたが、多くのプログラムではアプリケーションで異常が発生した場合に備えて「例外処理」というコードを記述します。その詳細についてはコンピュータ誌やネットの記事を見てもらえればいいと思いますが、要するにアプリケーションというものはプログラマーの意図を外れたときでさえ、その処理が定められているということなのです。

「何か事件が起きたらすぐ法改正」という発想は、この例外処理と似ています。プログラマー(政治家や官僚)の作ったプログラムが法律、それに従わされているのがコンピュータ(人間)だとしたら、「法改正」はコンピュータが何らかの原因で異常をきたしたとき、例外処理を加えて、その異常さえもプログラマーの意図に従わせようとする。これと本質的にはまったく同じことだと思います。こういうことに対して異を唱える人が少ないというのもまた不思議ですが。

法律が人間を制御するための人工的プログラムであるという、ごく当たり前の発想でこの世の中を捉えなおしてみれば、最近の厳罰主義や法律で何でも解決しようとする風潮は、人間や環境を完全にコンピュータ化し、さらにそれを促進しようとしている象徴といっても過言ではありませんね。本来、人間というものはコンピュータのようにプログラムを定めれば、全マシンがそれに従うようなものではないと思いますが。法律というのはそれ自体が不自然なもの、法律を増やすということは不自然を増大させる行為、そういう発想がなぜ出てこないのか。なぜこういう動きに反乱していこうとする動きが出てこないのか、私は不思議で仕方がありません。通勤列車というブタ小屋の中で育てられた現代人というのは、人間が死んでしまったただのコンピュータロボットなのでしょうか。