辺野古移転で示された民主党政治の本質

普天間基地移設問題は様々な激論と感情的しこり、連立の危機という大きな代償を残したまま、自民党政権が決めたのとほぼ同じ「辺野古」に移転されることとなりました。このことから分かることは

  1. 理念先行型の政治に於いて
  2. 政権与党内で意見がバラバラであると
  3. 新たに無用な対立を生みながら、原案と似た結果になる

という教訓です。

医療事故調を含め厚労省施策は、官僚とうまくやっていけない長妻厚労大臣のもとで、理念先行型の足立政務官がすべてストップをかけているようですが、医療事故調にしても民主党内の意見はバラバラ。私はこの問題は紆余曲折を経た結果、全く何も決まらずに廃案になるか厚労省原案と近いところで収まるのではと考えています。

そもそも事故調の設立目的は、医療の安全推進という建前と医療事故に司法を関与させないという本音の二本柱でした。しかし、後者については司法サイドが猛反発。結果として原則として司法は介入しないが、著しく現行の医療水準から離れた診療をしたり故意が疑われる場合は司法に調査をバトンタッチするという案に収まったのです。民主党は野党時代に後者の本音を推進させるべく、院内事故調を基本とし司法の関与を認めない案を提出しました。これは医療関係者受けは良かったのですが、現足立政務官周辺の人間だけで決められたような案であり、司法サイドや被害者団体との刷り合わせもまともに行われていないのですんなり通るかどうかも分からない。

これは全く普天間と同じ構図です。「〜したい」という理念だけが先行し、関係する利害関係者全体への事前調整や根回しもせず、自らの手足を縛るような案を提示してしまった。普天間のパターンを鑑みれば、結局のところ生まれるのは被害者団体(=徳之島)や司法サイド(=アメリカ)との軋轢、医療関係者(=沖縄県民)の過度の期待だけで、何も決まらないで終わるか、ちゃんとすり合わせが行われてきた大綱案に近いところで決まるんだうというのが私の予測です。

医療関係者もばらばらで、一刻も早く警察の介入を抑制したいという人々もいれば、時間はかかってもいいから完全に介入を阻止したいというグループもある。そこの意見統一をしないままに、「我こそ『医療関係者』だ」というでは何も自分たちの利益にならないことは明らかです。