はしか

とうとう、うちの大学でも麻疹の感染者が1人発見されました。現在のところは瀬戸際で収まっていますが、関西地方でも広がるかもしれません。

そもそも麻疹(はしか;measle)とはどんな病気なのでしょうか?
麻疹は麻疹ウイルス(Measle virus)によって引き起こされるウイルス性感染症です。麻疹ウイルスはRNAウイルスの中でもムンプスウイルス(おたふく風邪)と同じパラミクソウイルス科に属しています。パラミクソウイルス科とインフルエンザウイルスに代表されるオクソミクソウイルス科との違いはRNAとbindしているRNPの違いやRNAが分節を持っているかどうかということ。

で、麻疹の感染は主につばやくしゃみなどの飛沫感染により、免疫のない感染したすべての人が発症する。不顕性感染はない。発疹が出るのは炎症によるためであって、発疹でウイルスが増殖しているわけではなく、実際は全身に感染している。感染後は10日間の潜伏期を経て、発熱や結膜カタルなどを起こし、発症に気づく。この時期の涙などで口腔粘膜にウイルスが感染し、コプリック(koplik)斑という特徴的な白色斑が現れる。3日ほどして顔面などから下降性に発疹が出る。
麻疹の怖いところは感染中は一過的に免疫が抑制された状態になり、他の細菌の感染を起こしやすくなるほか、たまに高熱や麻痺を起こすような重症となること、1000例〜2000例に1例ほど麻疹肺炎という肺炎が起こること、感染後10年ほどしてから10万人に1人の割合でSSPE(亜急性硬化性全脳炎)が起きることがあるということ。

予防には弱毒化ワクチンが有効。特異的な治療法はないらしい(教科書的には)。細菌の二次感染を防ぐための抗生物質投与など。