円高株安進行中

とりあえず書いてみた。

昨今のミニ株、FXブームで積極的な投資に出ている人々は他人事ではないだろう。7月末からお盆の間に円高が急激に進行し、株価も大暴落中である。もとはといえば、アメリカの低所得者向けローン、いわゆるサブプライムローンの焦げ付きで、証券化された債権に投資していたヘッジファンドが銀行からの資金調達が困難になり、M&Aや償還のための資金調達で株式を売らざるを得なくなったのがアメリカ市場の株安につながった。そこから全世界へ株安が連鎖している。特に日本の超低金利を利用して円キャリー取引をしていた外国人投資家が一斉に円を買って資金を返済しているため、円ドルレートは急激な円高となった。非正規雇用の増加などによる所得の低迷で個人消費が伸び悩んでいるため、日本経済の原動力は輸出や設備投資に大きく依存している。それだけに円高による輸出産業、しいては日本経済全体への打撃は大きい。大手輸出企業は業績予想の上で想定レートを1ドル115円前後に設定していたため、現在のように1ドルが111円〜113円前後で推移していると利益は数百億円単位で目減りする。そのため日本の経済が減速するのではないかとの不安が広がり株価が大幅に下落している。

解説:
subprime loan:低所得や破産などで信用度が低い人々をsubprime層という。彼らは信用がないので銀行から融資を受けることが難しい。しかし、日本にも消費者金融があるようにアメリカにもそのような低所得者向けのローンが存在する。しかも日本と違うのは、それが50万円とかそういうレベルではなくて住宅ローンレベルのまとまったお金を融資するところにある。もちろん、彼らは低所得ゆえにローンを返せない可能性が高いので、金利は日本のサラ金同様、銀行のローンに比べればはるかに高い。このようなローンをsubprime loan、subprime mortgage lending(サブプライムモーゲージ)といったりする。前回2月に上海市場の急落を発端として始まった世界同時株安もアメリカのサブプライムローン問題で長引いた。サブプライム問題はアメリカ経済が抱える爆弾であり、かなり前からFRB前議長のグリーンスパン氏が危険だと指摘していた(もっとも、本人はもっと昔にはサブプライムモーゲージを賞賛していたのだが)。ある意味、その爆弾がまたも爆発した結果が今回の世界同時株安とも言える。もっとも、サブプライムローンの問題は決して一筋縄ではないようだ。低所得者がローン返済を延滞しているという問題に加え、リゾート・バブルで、サブプライムローンを利用してリゾート地の住宅を購入した非低所得者がローン返済を延滞しているという。
参考資料An Overview of the Sub-Prime Mortgage Market

サブプライムローンの貸付残高自体は1兆3千億ドルとアメリカのGDPの10%程度のものなのですが、その住宅ローン債権が証券化(MBS:Mortgage-Backed Security)され、全世界へと広がっていたためにどこにどの程度のリスクがあるのかという全体像が分からず、心理的に不安が広がってパニックになっているようです。市場が冷静さを取り戻すまではしばらく乱高下が続きそうです。