官僚と医師

図書館で題名を見てぱっと借りてきた本。笑える話、頷ける話も多くてなかなか面白い。著者はキャリア官僚を経て医学部に再入学し、開業医をしている。

官僚と医師はなぜ同じ過ちを犯すのか―組織も思考も行動も「ウリ二つ」

官僚と医師はなぜ同じ過ちを犯すのか―組織も思考も行動も「ウリ二つ」

まぁ、当ブログでも何回も指摘しているように、官僚も医師も構造が似ているがゆえに抱えている問題や、取り巻く状況というのもよく似ているわけです。逆に言えば、昨今の医師と官僚の対立を見ていると、「どっちも同じような連中の集まりなのだからもっと相互理解して仲良くやれば?」と思うことも多々あります。傍から見ているとこの対立がバカバカしく思えるのも事実です。

この本の中で面白かったのが「天下り」と「医局からの派遣」がよく似ているという点。確かに医局で教授が交代したり、睨まれて40代半ばで出世の道がなくなった人は、飛び出して開業するか、おとなしく「天下り」のごとく、教授の手足となって関連病院の部長クラスとして働くか。でも関連病院の部長クラスの方が大学病院より給料はいい。官僚の天下りと同じ仕組みです。

最近は医局崩壊でそういう人も医局に呼び戻されていて、過酷な労働を強いられているようです。官僚の方でも相次ぐバッシングと「小さな政府」政策で人減らしが続いているので、独法に天下って万々歳だったのが、突然本省に呼び戻されるケースが増えてきているようです。同時に、若い官僚が官僚システムに見切りをつけて民間に行ったり、政治家に転身していることと、医局崩壊で若いうちに医局を飛び出して開業したり、自分で病院を探してそこに就職する医師が増えているということは非常によく似ていますね。

色々批判を受ける縦割りですが、医療でもチーム医療が叫ばれている中とはいえ、やはり科による縦割り的な要素は強いわけです。

本当に考えれば考えるほど構図がよく似ています。