ハタチの言い分

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新成人は仕事で「傷つきたくない」世代・意識調査

新成人の意識調査ですが、成果主義に対する見解は面白いものでした。

  1. 成果が上がれば給料も増えるのでやる気が出る:33.2%
  2. 若い頃はいいが将来が不安:24.7%
  3. 成果をあげた人がたくさん給料をもらうのは当然:20.4%
  4. できれば年功序列の賃金体系がいい:9.2%

となっていて、成果主義をよく肯定している人(1番、3番)が全体の過半数に達しています。

また、あるインタビューでは新成人が、「子供のころに現実的なことを言うと『もっと夢を持て』と言われ、成長したあとに大言壮語すると『現実を見ろ』と怒られる」と話していて、「大人側がその場しのぎのアドバイスを無意識に繰り返していることも、若者の自信喪失の一因になっているのかもしれない」と記事は指摘しています。

今年の新成人は1年後輩にあたりますが、同世代からすると「その通り!」といいたくなりますね。だいたい、僕らの世代は多感な時期に親がリストラの恐怖にさらされてきた世代で、「現実を見ないと(=会社の圧力に迎合しないと)ホームレスになるぞ」と言われて育てられてきました。したがって、経済界の考え方には少なくとも表面上は肯定的ですし、社会システムとして成果主義に対する評価も高い。ただ、自分には生き残る自信がないので、自身の職業について安定志向です。記事中では「経営が安定している大企業に勤務しても仕事で失敗したりして傷つくことはあるが、まずは入社する会社が社会で生き残るかどうか重視する傾向が強い」という指摘もありましたが、まさにその通りだと思います。最初の段階で勝ち組に入れるか否かがポイントなのです。医療崩壊が進んで、どれだけ過労死が増えようとも医学部人気が高いのは、「食いっぱぐれがほとんどない」からにほかなりません。医学部定員の削減を続けてきた厚労省は僕らの世代にとってはその点では英雄みたいなものです。逆に歯学部の人にとっては鬼畜でしょうが。

で、さらに僕らの世代は「面倒なことは避ける世代」でもあるので、最低限以上のことはしたがりません。だから、医療に例えるなら「医師が足りなくて診療しきれないのなら、そこで診療打ち止めにしたらいい。規定時間外はnot my responsibilityだ」という考え方です。たまに指導医のグチで「最近の研修医は6時ぐらいになったらさっと帰ってしまう」というものを聞きますが、まさにこれだな〜と僕は思ってしまいます。だから、「〜のまとめ役」とか、そういうのは完全に負け組って考え方ですよね。面倒な雑用ばかりさせられますから。本人もやりながらそう思っていますし、周りも嫌なことをやってくれているので見下しはしませんが、「わざわざ進んでそんな面倒ことせんでもええのに。かわいそうに」と哀れむような視線を送ってくれます。傷をなめあっているというか、そんな感じですね。それが僕らの世代の文化です。まぁ、この傾向は各世代に広まりつつあるような気もしますが。

あ、そうそう。最後の文末で「気もします」とよく僕も使っていますが、語尾を曖昧にするのも僕らの世代の特徴です。これは次のような機序で起こります。

面倒なことは避けたい、傷つきたくない→他人と面倒なトラブルを起こしたくない→意見のぶつかり合いは避けたい→断言はせず、語尾をあいまいにして含みを持たせる

そうやって防御をしていても衝突は起こりますが、「語尾の含み」を用いて真正面からの衝突を回避し、自分の中で何かが傷つくことをできるだけ避けるのです。もとから自信がないということもさらに語尾の曖昧化を助長しています。要は「これが正しい」という明確なものを持っていないし、そもそもそういうのを持てる時代ではないのです。価値観が多様化していますからね。
「もやっとした中でなんとなく生きる」
僕らの世代を一言で表せばこういうことだと思います。異論はあるかもしれませんが。