陰謀論は何度聞いてもくだらない

陰謀論って胡散臭いんですよね。「〜をたくらんでる!トンデモだ」とかいっている人をみると、馬鹿馬鹿しく感じます。そもそも、大抵の人間ってのは一つの企みだけで行動できるものじゃない。特に社会の上位に位置する人間というのは育ちもいいことが多いですし、そういうのを気兼ねなく出来る人間ではありません。そういうのを着実に進めていくには当然、自分でもある程度納得できる理論武装が必要で、その信者にならないとそう簡単に陰謀を実施することは出来ないわけです。となると、これはもはや陰謀による施策というよりは、建前理論に基づく施策であって、いわゆる「たくらみ」というやつは、最初のきっかけであるとか、補助的な役割しか果たさないわけです。あくまで複合的な要素の一つにしか過ぎません。「たくらみ」がすべてということは殆んどの場合でありえない。

また、矛盾するように聞こえるかもしれませんが、そもそも人間があることを主張するにおいて、建前だけでしゃべっている人はほとんどいないと思います。当然、別の意図もある。何事においてもそうです。だから、「〜たくらむ」のは誰もがやっていることであって、それを批判すること自体、相手と同時に自らをも否定していることになります。それに気付かずに何でもかんでも「〜たくらんでいる!」と言い続ける人をみると、空しいというか、馬鹿馬鹿しいとしか言いようがないんですね。自分で自分を否定していることに気付いてないんですから。そうやって批判していること自体も、いわゆるアンタの言う「たくらみ」があるんだろ?と突っ込んでやりたくなります。

さらに馬鹿げているのは、その「たくらみ」をとにかく表に出そうとすることです。格好の批判材料にしたいんでしょうね。ところが、「たくらみ」は腹黒い以上、やっぱり裏で働くのが適切であって、表の世界とは相容れないわけです。当然、そういうものを出せば、相手は当然それを否定しますし、議論がかみ合わない。ますます、事態は硬直化して思わぬ方向に行ってしまうわけですね。やはり、そこは建前同士の議論をしなければなりません。裏は心の中で「はは〜ん。そういう背景があるのか」と思っている程度で十分だし、それ以上表に出す必要もありません。せいぜい、「そういうたくらみが存在している可能性も視野に入れないといけませんね」と解説する程度であって、相手批判に使うなんてもってのほかです。そもそも裏ってのは、大抵が周辺情報からの推測であって確実ではないのですから、逆に墓穴を掘ることにもなりかねませんよね。

で、そうやって「たくらんでる!」と言われたほうからすると、極めて胡散臭いわけです。建前の議論をしたいのに、無理やり話題を裏に振ってくる。「また、アホがわめいてる」そう感じることでしょう。そりゃ裏に気付いたことは「ほほ〜、鋭いな」とは思います。しかし、先ほども言ったように裏というのは、第一に施策を推進する一つの要因でしかないこと、第二に大抵が推測なので正確さに欠ける点が多いことから、たとえ正直な相手であっても純粋な感情として「それはちょっと違う」と思うことが多いわけです。したがって、「彼は誤解でモノを言っている」と考えるわけです。
さらに、そのことを説明しても、陰謀論者というのは「ぜったい自分の推測が正しい」と思っている人が多いので、その説明はウソだと決め付けて誤解が残ったままの裏事情を無理やり表に出してくる。まさに、鬱陶しくて仕方がない。ウザイので、もしその人間を統制できる立場にあるならばもっとイジメてやろうと思います。

そうやってさらにイジメてやると、陰謀論者は「自分の推測が正しかったから、本当のことを言われてムカついたからさらにイジメるのだ」と勘違いしますよね。で、陰謀論はどんどんエスカレートして事態が悪化していくのです。最終的には鬱陶しさが限界を超えると、そういう人や勢力は忌避&無視されていきます。誰だって勝手に自分で推測して無理やり批判をしてくるのなら、人間感情として付き合いたくはなくなりますよね。できるだけたらい回しなどを活用して、相手と付き合わないようにしようとします。結局、陰謀論者は自らの意見を反映できず報われないわけです。

なので、僕自身はできるだけ建前を大事にするよう努力はしています。裏も考えますし、たまにポロっと表に出すこともありますが、それはあくまで補助的な役割。むしろ、裏がどういう環境から生まれてきたのか、裏の背景を探るようにしています。で、議論ではその背景について少し触れるようにします。すると裏には直接触れずに、相手に「裏はこういうことなんだろう?」ということを突きつけることが出来ます。わかってるのか、わかってないのか・・・腹の探り合いとも言える、この何とも言えないもやっとした緊張感こそ、私は論戦の醍醐味かなと思います。まぁ、そういう緊張感にめぐり合える機会はなかなかないですけれどもね。

陰謀を語るより、建前をいかに理論武装していくか、それが一番重要だと思います。