考えてない

「中国食品利用せず」75% ギョーザ事件で世論調査
現実にそれが可能か考えたら、絶対無理だと分かるはずですがね。たとえ、よっぽど注意して冷凍食品から調味料まで中国産を避けたとしても外食をすれば、避けることはほぼ不可能です。さらに、国産の加工食品だとしても中国産の原材料が含まれていることは多いわけです。どう頑張っても中国製を避けることは出来ません。米、野菜、肉から調味料まで自給自足生活でもすれば別ですが。

まぁ、「利用したくない」という決意なら評価もできますが、1年後に果たして何パーセントがそのことを真剣に考え続けているでしょうか。もし、きちっと考え続けている人が50%を越えるならば、この決意も意味を持ちます。ですが、大抵1年後にはそんな事件があったことなど忘却のかなたにあるのが普通です。中国製品は安いですから私は必要に応じて買いますよ(つーか、安くなけりゃ買いません)おそらく実験室で素手で使っていた薬品の方がよっぽど発癌性が高いんでね(エチブロとか・・・もちろんバッファーで希釈したものですが)。最近、日本国民がアンプのように思えて仕方がないわけです。マスコミが「ぁ」と言えば、それに反応して「あ」と言う。「ぃ」と言えば「い」と言う。そういうことを繰り返しているようにしか見えません。マスコミが「ぁ」と言えば「ん」と言える様な国民になってもらいたいものです。

「安全」は個人的に大事だと考えていますが、最近の世論というのは望ましくない「安全論」につっぱしっている感じがします。何かが起きたらまず悪者探しがはじまり、国民の評価責任は放置でそこにすべての責任を押し付ける。ついでに行政批判をする。国会で問題になる。仕方がないので行政が(自らの権限で最大限出来ることとして)法的な規制をする。規制をしたら今度はその影響で業界全体が混乱し不況を招く・・・。そういうことの繰り返しばかりしています。

行政に安全を求めても、基本的に行政が出来ることは書類の提出を求めるとか、資格を認定して配置を義務付けるとかそういうことです。現在の日本の行政は法律という文書によって統治をすることになっているわけですし、現場に派遣できる人数も限られていますから、そういう規制の仕方しか出来ない。いわゆるハード面の規制が主になってしまい、ソフト面での規制が難しい。結局、安全の責任を現在の行政に求めること自体が大きな間違いなのです。にも関わらず、マスコミや国民はいつも安全問題で短絡的に行政批判を繰り返します。行政システムの根本的な問題点を指摘せずにです。結果としておかしなことばかりが起きてくる。

当たり前のことですが、安全というのは書類の提出で守られるものではありません。現場や業界レベルでの「実体的な」努力によって少しずつ改善していくものです。行政は情報を集めて公開したり、取組みに助言を与えたり、予算をつけたり、取組が行われていることを何らかの手段で確認、指導できていればそれで十分責任を果たしています。あとは現場と業界が自発的にやるべき問題です。たとえば、業界が独自にセーフティ部門を作ってリスク分析と指導をするとか、業者が生産工程に関わる多くの情報をネットで公開するよう指導するとか。当然、これらの活動に政府のお墨付はないので(与えてもよいはずですが、もしウソがあったら現行ではマスコミに叩かれるのでやりたくない)根拠としての不十分さは残るでしょうが、それが安全というものの本質だと私は思います。不完全と安全は切っても切れない。確率論を知っている方ならば頷けるはずです。ところが、なぜか完全な安全を国民は求めたがる。絶対不可能なのに。結局、安全対策を現場に疎い行政がやらざるを得ないのです。意味があるのかないのか分からないようなお墨付(=見かけの完全)を与えるためだけに。これは国民と業界、双方に大きな非があります。

  1. マスコミと国民は悪者叩きと短絡的な行政批判に走りすぎている(結果責任ばかりを問うている)
  2. 現場や業界は上に言われるまで自律的動きをしない、情報開示も乏しい
  3. 国民は本質的に不可避であるリスクに対して何も自分の頭で考えていない

この3点が今の日本の問題点です。1番と3番が解決しない限り、2番もほとんど意味を持ちませんし、そういう動きも出にくいでしょうから、1番と3番を何とかすることが急務です。もちろん、法律ですべてをコントロールをするという行政の仕事のやり方そのものを、根本的に変えることも必要でしょう(これには数多くの法律や法令を改正する必要があるので、大規模なプロジェクトになるでしょうが)。あと、もう一つ背景をあげるとすれば、日本の警察・司法は過失に厳しすぎます。そこがこれらの問題点を増幅させています。誰でもがやりかねない過失に他の犯罪者と同様に懲役刑を科す必要がありますか?むしろ社会奉仕とか教育によって反省を促すべきでしょう。一方で法人に対する処罰は甘い(というかほとんどないし、問えないことも多い)。刑罰のあり方も大きな問題です。

国民も自らのリスクは自分で管理していくのだという決意と、情報開示の要求をしていかねばなりません。幸いにもインターネットが安価で手に入る時代です。QRコードという便利な代物もできました。製造工程やリスク情報をネットにアップロードすることは容易です。いわゆる、リスクコミュニケーションをもっと図ることが喫緊の課題です。それがなければ、日本の規制行政、安全対策はますますおかしな方向へ行ってしまうように思います。

しかしながら、なんで変われないのだろう。"Change"が必要なときだというのに。
やっぱり地上波テレビの局数を資本に関係なく増やしまくって、多様な意見で市民を一度混乱させるのがいいかもしれませんね。論調が色々あると、自分の頭で考えるようになるかもしれません。

ちなみに僕は新聞は日経を取っていますがネットでは

を読み比べています(:以下は個人的な印象)。各社論調が違うことがあるので面白いですが。右翼や左翼の論調も比べると面白いです。ちなみに医療界の論調は僕の感触では、「左翼、ローカル主義、反行政、反市場主義」と評価します。どっちかというと一般的な地方紙と似ている感じがします。僕自身は「中道左派、市場重視、グローバル主義」です。行政への立場は、実状に同情しますが、問題点も多いことを指摘しているので絶対的には親行政色のある中道派でしょう。ただ、日本国内では公務員バッシングの嵐が吹き荒れているので、相対的には親行政だと思います。