黄砂と花粉症

花粉症の悪化と黄砂との関連は研究レベルでも指摘されているところです。事実、私も花粉症ですが、黄砂が観測されるようになると症状が相当悪化する傾向があります。

ちなみに関西では先週の水曜日あたりから花粉が飛びまわっているようで、多くの人がマスクを装着していますが、私の場合は鼻づまりがちょっとひどい程度です。ところが、黄砂がよく観測される3月になると、鼻汁がズルズル出て、眼もショボショボになります。アレルゲン検査ではスギが強陽性でヒノキが陽性だったので、この時期は鼻ズルズルでもおかしくないのですが、私の場合はやはり黄砂が来ないとそういう症状は出ないようです。ちなみに主要国道をこの時期に自転車で走るとやはり症状が悪化します。微粒子か何かが影響しているのでしょうね。

最近の黄砂は中国の高度成長の影響で窒素酸化物や硫黄酸化物などが含まれているため、相当の害があることが知られています。気象庁のページに加え、環境省も黄砂の情報提供をホームページで始めたようですが、中国が気象情報は国家機密だとか言って、情報提供を拒んでいるそうです。まぁ、仮想敵国ですからね〜。福田外交でなんとかしてくれないですかね。誰か猛烈な花粉症で苦しむ東アジアの軍関係者が腹いせに砂漠地帯にミサイルでもお見舞いしてくれたら変わるかもなんて思っている次第ですが。無理か。

あと、花粉症が最近増えている理由として、戦後〜高度成長期に(丸ハゲになった山を再生させるためと増加する木材供給に対応するために)植えたスギが樹齢40年を越えて、子孫を残すために大量の花粉を出しているというのも挙げられいます。日本の高度成長と中国の高度成長、2つの高度成長が逆襲するかのごとく今の日本人を苦しめているわけです。スギは建築木材としては優秀な木ですが、広葉樹に比べると根を張るのが浅いため、ちゃんと管理をしないと土砂崩れなどの災害を起こしやすいという点が挙げられます。最近土砂崩れが増えているのは地球温暖化による異常気象というのも上げられるのですが、木材価格の低下や後継者不足による林業の荒廃でスギ林が荒れているというのも一つの原因と考えられています。針葉樹⇒広葉樹の流れを作っていけば、何か変化が起こるかもしれませんね。なんとかメンテナンスフリーにできないものでしょうか。

そもそも、最近は木造戸建建築より鉄筋コンクリートのマンションがもてはやされる時代。昭和59年以降、新設住宅の半分以上が非木造構造です。*1確かに最近のマンションは防音性も改良されていますし、一戸あたりの表面積が小さいので保温性にも優れています。建築用途全体で見たの木材需要自体は昭和40年代〜平成元年ごろと比べると減少気味です。*2一方で紙の大量消費により製紙に使う木材需要は高止まりを続けており、昭和30年には建築用が70%近くを占めていましたが、現在では半分近くが製紙用です。しかも製紙用に使うパルプ・チップ材の90%を輸入に頼っています(全体では自給率20%。建築用の製材が自給率35%)。*3その理由は材木の価格というのもあるでしょうが、印刷・筆記目的の紙が線維の短い広葉樹を必要としていることにあるようです。事実、製紙に用いられるパルプ材全体の66%を広葉樹が占めており、輸入材の82%が広葉樹となっています。*4木材需給を考えても針葉樹⇒広葉樹への転換は必要と考えられます*5広葉樹林に転換するのならばある程度の税金をつぎ込んでもいいと思いますね。この時期になるといつも思います。意味のないような高速道路建設に比べれば優先順位は十分に高いと思います。

話がずれましたが、花粉症はもはや国民病。患者の立場からすれば花粉をいっぱいぶら下げたスギを見ると焼き尽くしたくなるほど恨めしい存在です。高度経済成長期の遺物がここまで現代人を苦しめるとは皮肉なものです。

*1:国土交通省「建築統計年報」、総務省統計局「日本の長期統計系列」

*2:農林水産省「平成18年森林・林業白書」など

*3:農林水産省「平成18年森林・林業白書」より

*4:日本製紙連合会「製紙業界の現状」

*5:もっとも、製紙に供するためにはある程度単一の樹種でないといけないみたいですが。それゆえジャングルの熱帯林は紙には使い物にならないそうで