中国問題の続き

先日の中国がなぜ嫌われるかについての考察の続きです。

  1. 中華思想(中国が世界の中心であるという中国の伝統な考え)が強いから
  2. 一般的に中国人の性格がカネや利益にがめついから
  3. 反日教育等によって日本に嫌悪感を持っている人が多いから
  4. 改革開放を進めているとはいえ、人民に対して強圧的な支配を続けている社会主義国家だから
  5. すぐに死刑にしたり、残酷な刑罰を行っているから、独立運動に弾圧を加えているから
  6. 日清戦争以後、日本が植民地化して支配していたのに第二次世界大戦戦勝国になり、靖国参拝中止など日本に様々な要求をしているから
  7. 中国の軍事費が二桁台で成長し、軍備の強化が著しいから。また、互いに仮想敵国だから
  8. 潜水艦が領海侵犯したり、東シナ海で中国機が偵察や監視活動を行っているから
  9. 尖閣諸島問題で日本と領土争いをしたり、東シナ海のガス田を勝手に採掘しているから
  10. 事実上独立している台湾の独立を認めず、地域の政情を不安定にさせているから
  11. 「豊かになれるものから豊かになれ」という訒小平先富論を実行した結果、中国国内での格差(農村と都市)が拡大しているから
  12. グローバル化の中で世界の工場として成長し、日本国内から仕事を奪って平成不況やデフレを深刻化させたから
  13. 急速な成長による資源の大量消費により、原油や鉄鋼などの価格が上昇したり、日本が買い負けすることが多くなったから
  14. 模倣品により日本のブランドや知的財産権が侵害されているから
  15. 急速な成長と環境に対する無策で猛烈な大気汚染が発生し、それが偏西風で流され、日本でスモッグや花粉症の増加をもたらしている可能性があるから
  16. 食品に強毒性のある農薬が残留するなど、製品の質全体に信用がおけないから
  17. 帝国主義的な大国が一般的に嫌いだから
  18. 日本は成長が止まっているのに隣で急速に成長されるのが鬱陶しい

1〜3:中国民族や人民の意識に対する不満、4〜10:中国の国家としての外交姿勢や内政に対する不満、11〜16:改革開放や経済成長に伴う問題に対する不満、17〜18:日本側の妬みともいえる勝手な不満

1番の中華思想の問題は歴史的に中国が長年アジアの盟主として活躍してきた経歴からある意味やむをえないという点を指摘しました。2番のカネのがめつさの問題は中国の社会が成長して、安定してくれば変わるのではないかと思っています。日本も昔はワーカホリック、拝金主義なんて揶揄されました。成長の著しい今、考え方を変えるのは難しいのではないかと思います。3番は中国に大いに改善してもらいたい点です。どこかの省とどこかの業界のように、近い位置にあるのに互いに嫌いなのでは一向に前に進みません。

4〜5については中国国内の事情を見たわけではないので、なんともいえませんが、国内ですでに相当の不満が溜まっていると聞きます。あれだけの規模の国ですし、共産党の一党支配が崩れるのは時間の問題では、という気がします。6番は私は靖国が悪いと思います。遊就館で上映されていた説明映画を見たときに思ったことですが、靖国神社の戦争史観、いわゆる靖国史観は日本国内や世界の一般的な歴史観ともかけ離れています。見に行ってない方は是非見ることをお勧めします。私は神社自体は戦没者を追悼する目的と今の日本の礎を築いた人々に敬意を示す目的で参拝しましたが、やはり靖国史観だけは是認できません。もし、ああいう映画が敵国で上映されていたら私でも本気で怒るでしょう。また、日本国民としても「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の政治家が戦没者慰霊の目的ではなく、靖国史観を是認して神社を参拝しているのかも、と疑うとちょっと怖くなります。中国側は靖国神社が単なる英霊を祀るだけでなく、靖国史観という独特の史観を持っていてそれを広めようとしていることを知っているからこそ、参拝に反対するのでしょう。A級戦犯なんて正直どうでもいい話だと思います。スミソニアンエノラ・ゲイを展示しようとしても日本から文句なんて出ませんよね。ただ、展示説明に「原爆を投下し第二次世界大戦を終わらした素晴らしい飛行機」なんて書いてあったら、広島長崎をどう思っているんだとムカッと来る。同じことです。

7〜10は安全保障上、私も憂慮するべきことだと思っていますし、中国側にある程度ものを言わなければならないと思います。おそらく、中国からすれば日本よりは台湾を真っ先に攻撃したいのでしょうが、やはり軍の急拡大は日本にとっても脅威です。中国は軍事分野でも模倣が得意のようで、ステルス戦闘機のようなものや、イージス艦のようなものを真似て作っているようです。もっともステルス戦闘機は形状がSu-27 Flankerそのもので、RCSも1/5程度と大したステルス性能があるとは思えませんが、こういう兵器が北朝鮮などの国家に渡るとやはり日本にも脅威となるでしょう。

11〜16番及び18番の問題はもはや中国の問題というより、市場主義やグローバリゼーションに付随する問題のような気がします。日本はオフショアリングで「世界の工場」中国に多くの仕事を奪われた国の一つですから、現在の中国嫌いの機運には経済成長に対する反発が大きな部分を占めていると思われますが、一方でここ10年近くの日本の経済成長のほとんどはグローバル企業によってもたらされたものです。また、経済成長に伴う模倣品や粗悪品、環境汚染はかつての日本やイギリスのような現在先進国となっている地域でも起きた問題で、中国固有の問題ではありません。これら中国の経済成長に付随する問題を中国の問題として捉えている限り、本質は見えてこないと思います。グローバリゼーションや市場経済が何をもたらし、何を奪ったのか。その評価を世界レベルで行わなければ、11〜16の問題は永久に解決し得ないでしょう。たとえ中国の問題が解決しても、先進国がそういう問題を大昔に起こしてきたのと同様、別の国が同じ問題を起こすだけです。

17番は帝国主義は嫌かもしれませんが、最近は帝国主義じゃないと生き残れないような環境になりつつあります。アメリカはもともと「世界の警察」を自認する帝国主義ですし、EUも弱小国が集まって巨大化し、厳しいEU基準を設けてそれに従わない製品はEUの巨大市場から締め出すという戦略をとることにより、EU基準を世界基準にし、世界の主導権を握ろうとしています。アメリカの一部ではこれをEU帝国主義と呼んでいます。ロシアも最近は色々な国へ武器を輸出したり資金援助を行って資源と同盟関係を確保し、プーチン帝国を確立しようとしています。巨大化と自己中心。この二つがそろわなければ、生き残れなくなっていると思います。日本は日中関係が粗悪なために両者が矛盾し、なかなか帝国化するのが難しいのですが。

結局のところ、中国固有の問題で日本が独自にモノを言うべき重要な問題というのは、安全保障上の問題と反日教育の問題ということになるでしょうか。