混合診療についての新たな提案
若い医学生や国民の間では、かなりの割合で混合診療の一部解禁を求める声が強まっている(第三者的なNPOの調査では国民の8割が混合診療を認めてもいいと考えているようです)という話を何度かしてきました。
混合診療の最大のメリットとしては海外では行われているが、日本では保険制度上認められていないガンの新薬や特殊な治療法の適用が、現在より容易になることが挙げられます。また、先進的な医療をより身近にすることが出来るため、金銭面や症例数の観点から先進医学の発展が期待できること、病院が混合診療で儲けた分をお金が払えない人に対して慈善的に流用することが出来ることなどが挙げられています。
一方で、混合診療によってアメリカ型の「金のないやつは死ね」という差別的医療が促進され、不公平感が高まるという指摘や、新たな治療法が混合診療制度があるからと保険に新規適用されにくくなり、保険診療や医療レベルの低下を招くという懸念もあります。
医療界でも混合診療に関しては意見が大きく分かれています。大学病院や大病院などで研究の一面として先進医療を積極的に行いたい病院の医師は混合診療解禁を求めているのに対し、診療所や中小病院などで先進医療とは強い関係がなく、地域密着型の診療をしている医師は混合診療に強く反対しています。
で、新提案というのは「特定機能病院や一部の認可された病院だけに混合診療の解禁をすればいいのではないか?」ということです。現在でも混合診療と同等のシステムとして先進医療制度がありますが、治療の種類は認可制ですし、各治療ごとに治療できる病院が定められているため、非常に制約的なシステムとなっています。病院単位で混合診療の可否を定めることが出来れば、患者さんにも分かりやすい制度になりますし、研究に積極的な大病院のみに適用を限定することで、混合診療で得られたお金を有用に活用することが出来ます。一方で大多数の一般病院では従来どおり保険診療が守られることで、公平な医療を提供することが出来ます。一律に全部解禁だ、禁止だという議論では国民や医師の合意が得られないことは確実です。医師や患者のニーズに合わせて、適切に運用していくという形が一番いいのではないでしょうか。