国と地方は仲が悪い

「官僚は現場知らない」 橋下知事、中央省庁を痛烈批判
橋下知事が「国が考えていることは全然、都道府県のためになっていない」と指摘しています。
ある意味、当たり前のことで国と地方は昔から仲が悪いのです。国は地方に対して権限こそ委譲・委任しますが、財源を移譲しません。行政上の責任は都道府県や市町村にあるにも関わらず、お金の出所を国が握っているので、どうしても国のひも付きになってしまいます。都道府県はまず国にお伺いを立てて、「やってもいい」、すなわち「お金出すよ」という許可を得てはじめて独自の政策が取れるわけです。

このシステムは確かに地方の実情に合った政策を阻害するという側面を持つ一方、地方が国の方針に逆行した政策を勝手に進めて大混乱を招くといった事態を防止する機能も持っています。地方の主体性を重視するか、全体の安定性を重視するかでこのシステムに対する評価は分かれると思います。最近は国から地方へという流れが強まっているので、批判されることが多いシステムですが、完全にたがを外してしまうのもどうかなと私は思います。もちろんある程度は財源も委譲しないといけないと思うんですがね。

一方、国からすれば地方は鬱陶しい存在です。国には都道府県から法令解釈について毎日のように膨大な問合せが上がってきます。地方でそれなりに判断すればいいのですが、地方の役人は役人で、もしも誤った法令解釈をして国から指導を受けるということになれば、出世にも影響しますから少しでも不安なものは必ず国に問い合わせてきます。結果として国の官僚の疑義照会対応業務が膨大になり、政策立案業務に支障を来たしたり、通知が乱発されることが往々にしてあります。「現場を知らない官僚」を作り出す一つの原因は、都道府県の問い合わせ対応に中央官僚が忙殺されているからという面は否めません。「自分の頭で解釈すりゃえーだろ」という不満が中央官僚の中には渦巻いているようです。

国と地方は永遠に仲良くなれない、とはよく言ったものです。