500人をどう分散させるか

7600→7800→8300人への増員ですが、具体的にどの大学に何人割振るのかというのが問題です。少なくともうちは一学年115人(現在学士入れて100人)ぐらいまでなら学生をギュウギュウ詰めにして押し込むことも出来ますが、それ以上は無理でしょう。先日も指摘したように学年間で留年者の数がばらつくとそれも難しくなります。国立大学が独法化されてから高等教育に対する文科省の監督が厳しくなっており、抜き打ちで答案をチェックし、60点以下で通していたらなぜ通したのか理由を聞かれることもあるようで、安易に基準を甘くして留年を減らすことは出来ません。

で、国公立大学の定員増の状況ですが、
新医師確保総合対策により平成20年度から

大学名 増加前 増加後 増加数
弘前 80 90 10
新潟大 95 105 10
岩手医大(私) 80 90 10
山梨大 100 110 10
秋田大 95 105 10
信州大 95 105 10
山形大 100 110 10
岐阜大 80 90 10
福島県医大(公) 80 90 10
三重大 100 110 10
自治医大(私) 100 110 10

緊急医師確保対策では

緊急医師確保対策における医学部定員増の概要

  1. 都道府県において、平成21年度からの最大9年間(公立大学は平成20年度からの10年間)に限り、最大5人(北海道は15人)の増員を容認。
  2. 医師養成総数の少ない県(和歌山県和歌山県立医科大学、神奈川県−横浜市立大学)において、平成20年度からの20人までの恒久的な増員を容認。

ということで、公立大学では20年度から

大学名 増加前 増加後 増加数
札幌医大 100 105 5
福島県 80 95 15
横浜市 60 80 20
京府医 100 103 3
奈良県 95 100 5
和歌山県 60 85 25

注:福島県医は新医師の分も含む

国立大では、筑波、千葉、岐阜、島根、広島、徳島、香川、愛媛、佐賀、長崎、大分、鹿児島などが21年度から5人以内の増員をすでに決めています。今回の500人上積みというのはそこからさらに500人増やすということですね。全国の国公立医学部は50校で、すでに定員を増やした大学のうち、受け入れ人数の加減で半分の大学しか新たに定員を増員しないと仮定すると、35校前後で500人ですから1校14人。その多くが元から結構定員が多い都市部の大学であることを考えると、かなりギリギリということが分かります。場合によっては国公立だけではなく私立大学にも定員増を要請する必要があります。

私自身は厚労省のピーク前後まで増やす方針には賛成ですが、民主党などが主張するそれ以上の大幅増には反対です。というか現実的に考えて無理ですし、大学の現状を知らない人間が考えることではないかと思います。やるなら何度も言っている医学部新設(歯学部→医学部というのもいいかもしれない)か、学生を増やすと黒字が増える私立大学中心に定員を増やすしかありません。

厚労省方針では10年かけて500人増やすみたいなので、カリキュラムや学生生活などにもそこまで大きな影響はないでしょうが、一部の民主党議員なんかは10年で1.5倍に増やすとか言ってますね。バカじゃないかと。