空港戦略がない?ならば

大阪府庁をすべてりんくうタウンに移すのが先決かと(爆)。正直、関空大阪府民にとっても遠すぎです。神戸・伊丹・関空全部利用しましたが、便利さで言えば伊丹>神戸>>>関空って感じですかね。南港あたりにつくればよかったのに。もともと周辺市町村が騒音問題で伊丹の廃止を求めたことと、神戸市が1970年代に現在の神戸空港近辺に関西空港を作る計画に反対したというのが諸悪の根源なんですよね。関西に3つも空港はいらないのです。
さらに梅田から泉州方面へのアクセスの悪さが重なって、関空は敬遠されることとなりました。なぜアクセスが悪いかというと、大阪駅を出発した関空快速は各駅停車が多く走る環状線ノロノロと走行し、ぐるっと大廻りして天王寺に着いた挙句、そこから鳳付近までは最高速度95km/h。日根野紀州路快速との解結作業があります。一方で特急「はるか」は特急料金が必要なうえに、大阪駅は素通り。一方、南海はそもそも難波からしか発着しておらず、梅田へは行きません(ちなみに大阪市営地下鉄堺筋線の建設時に南海と阪急どちらが乗り入れるかということが問題になり、結局、標準軌1435mmの阪急が乗り入れた。もっとも堺筋線は梅田には行かない)。
一応、現在では関空直通のバスが主要郊外都市だと30分に1本運行されるようになり、不便さは多少はマシになりましたが、神戸や伊丹のように飛行機を見るためとか、ショッピングのためとかで気軽に行ける空港ではありません。
一方で辺鄙な場所にあることから貨物輸送や国際線同士の乗り継ぎに有利な24時間化を気兼ねなく行えたというのは関空の強みでもあります。ただし、同様のことを目指しているハブ空港は香港や仁川などアジアに多数存在し、競争が激しいのも事実です。そこで関空では旅客については国内線と国際線の乗り継ぎ、貨物については国際ハブ空港として経営戦略を立てています。したがって、今回原油高で関空と地方との便が減らされるとなると、関空の経営戦略そのものに影響が出てくるわけです。

で、今回の橋下発言。まず、関西以外の方はご存じないかもしれませんが、大阪空港(伊丹空港)は兵庫県に存在するのであって、大阪府に存在するわけではありません。兵庫県伊丹市です。しかも設置は国。なので、大阪府単独で廃止を決めることは出来ません。さらに、大阪空港は梅田に近いことから非常に便利な空港で関西人からも高い支持を得ています。伊丹をつぶすなら関空つぶせ、という人は少なからずいるわけです。また、大阪府や周辺自治体も出資する第三セクター大阪高速鉄道大阪モノレール)が空港へ直接乗り入れている唯一の鉄道(多くの人は梅田からのバスを使う)で、伊丹をなくせば線路部分を道路の一部として建設して、ようやく黒字を達成している大阪高速鉄道の財政状態に影響します。大阪の経済低下につながる可能性もあり、大阪府にとってもあまり賢い選択ではありません。そもそも伊丹を廃港にしたところで、その客が関空に流れて関空の経営が改善するかというと甚だ疑問です。新幹線か神戸空港を利用するだけでしょう。府の財政状態にはいい影響はないといっても過言ではないと思います。

そもそもこの問題の発端を考えると国土交通省が課している年離発着数13万5千回以上という意味不明な予算上の制限が関係しているのは言うまでもありません。橋下の狙いは伊丹→関空によって国交省の宿題を達成し、二期島の整備を円滑に進めることでしょう。しかし、国際ハブ空港として関空の優位性がいまいちはっきりしない中で、ハコモノだけ香港や仁川と同等にしてもどうなのかという疑問は常に付きまといます。
もし、本気でハブ空港として運用させるなら、国は活動家が迫撃弾をぶっ放しているほどの成田の拡張計画をさっさと中止し、設備も新しくて整っている関空(総合空港ランキングでは日本の空港では最高)にさらに支援を行い、着陸料の大幅引き下げや自動化されたロジスティックシステムを作り上げなければなりません。旅客ハブは首都圏の近場にある羽田がある程度担っていけばいいと思いますが、貨物ハブは関空が一手に担うべきでしょう。関西の3空港に戦略がないのではなく、国に全く戦略がないことが一番問題なのです。国が関空を国際ハブにすると決めれば、伊丹は大阪と各地を結ぶだけの存在、神戸は神戸と東京や地方を結ぶ地方空港として住み分けが出来ると思います。
一方でハブとして関空を使わないのであれば、伊丹廃港もありだとは思います。しかし、その場合府はさらなる痛みを負う事になるのは間違いないでしょう。

まぁ、関西の場合は何でも東京一極集中政策のつけというのもあるわけですが。東京一極集中が改善するためには関東大震災がドドーンと起こればいいんですけどね。いや本当に起こって欲しいですね。混乱ぶりが楽しみです。