伊丹騒音問題

橋下が「伊丹廃止!」を叫んで暫く経ちましたが、どうなっているんでしょうね。
伊丹空港北摂地域の市街地の中に作られているため騒音問題がつき物です。伊丹空港には1828mの短距離滑走路14L/32Rと3000mの長距離滑走路14R/32Lの二つの滑走路があります。なんでこんな名前が付いているかというと、滑走路の向きが北を0°(360°)として時計回りに140°/320°(だいたい南東―北西)の方向に平行に2本の滑走路が設置されているからです。南東から北西方向への320°の滑走路であれば左側32Lが長距離、右側32Rが短距離滑走路です。短いほうの32R/14L滑走路はDHC-8など小型機がメイン、B777などの中大型機は基本的に長いほうの32L/14Rを使います。空港コードはITM/RJOOです。
で、伊丹空港は北側が山になっているので、通常は南東からのアプローチ、すなわち32Lや32Rに着陸します。その経路はいわゆる「YAMAT Arrival」と呼ばれるもので、YAMAT(ウェイポイント)→IKOMA(ウェイポイント)→MIDOH(ウェイポイント)→RK(NDB)で最終的に32Lに到着するというものです。google mapなんかで見てもらえれば分かりますが、このときに新大阪駅付近上空を通過しています。新大阪駅で電車を待っているとかなりの騒音です。まあ、でもこの進入経路上は一応騒音対策もしていますし、補償金も出ているわけで、まだマシなわけです。
ところが、夏場など南風が強いときは追い風になって滑走距離が伸びたり、失速の恐れがあるので、稀にですが32Lや32Rを使わずに逆方向の14L、14Rを用いて着陸します。このときは、大阪市内上空で32Lへのアプローチから離脱し、尼崎や伊丹市上空など空港の西側を通って、最後にぐるっと180度右に旋回して14Rに着陸します。ただし、北に山があるため旋回する場所が空港から近い場所になってしまい、旋回した直後に着陸しなければなりません。しかも通常の32LにはILSという計器着陸支援設備があるのですが、14RにはILSがないため目視やレーダー誘導(やってるのか?)を用いて着陸しなければなりません。いわゆる「伊丹カーブ」とか「ワンフォー」とか「14Rサークリングアプローチ」と呼ばれている難しい着陸経路です。
これが騒音とどう関係するかというと、このルートを取ったときには低空で空港近辺を飛び続ける上、騒音対策が講じられていない地域を低空で通過するため、騒音被害が大きくなるというものです。地域的には武庫川以東の尼崎や伊丹市西部などが該当します。
ちなみに一般的にジェット機が離着陸する1km以内では80〜100dB、時には130dBもの騒音が観測されることがあり、このレベルまで来ると耳に疼痛感が表れます。最近問題になっているクマゼミの集団騒音が90dB前後といわれますから相当な騒音といえます。最近は低騒音機の導入などでマシになってきたようですが、それでも80dBを越えた騒音をくり返し聞かされることは医学的にも良くないとされています。
地形の問題、気候の問題、利便性の問題・・・それらの問題が複合した結果が大阪国際空港騒音問題であり、関西3空港議論のベースともなる問題なのです。