日本の方向性は「自分の頭で」考えよ

経済界に多いアメリカ礼賛の市場原理主義者たちはこのたびの金融危機で勢いを失いました。
そして、医療福祉関係者に多い北欧礼賛の福祉国家原理主義者たちも、アイスランドを始めとする欧州の連鎖的な金融危機でいずれ勢いを失うことになることでしょう。
私は、これはいずれも彼らが「どこどこの国がこれこれをうまくやっているから、それに見習え」という安易で稚拙な主張しかしてこなかったツケなんだろうと考えています。
(私はこの両者にはそれぞれ正しい面もあるし、間違っている面もあると思っています。どちらか一方のみ正しいなんてことはない。それは過去の歴史が証明しています)

結局、この混沌とした状況の中では「自分の頭で」考えるしかありません。もう「どこどこのように」は通用しないということをいい加減に自覚すべきです。
これからの日本のモデルは自分たちで知恵を絞って、考えて、ナンボ。他の国は分析の参考にはなりますが、決して追従の対象ではないのです。それを今回の金融危機は教えてくれました。

では、一体何を考えないといけないのか。後期高齢者医療制度などといった細々した、どーでもいいことは議論不要です。今考えるべきことは大局的な日本のあり方、方向性です。
破壊的創造による成長と、セーフティネットによる安心の二項対立から、国家と市場のバランスをいかなるポイントに持っていくのか。北欧や中東とは違って資源の乏しい日本がこれからどうやって、超高齢社会に突入する中で財政を維持していくのか。日本人の文化や習性とグローバル経済の間でどうやって折り合いをつけていくのか。

現在おかれている日本の状況をよく見極め、そこに住む日本人の頭で考えなければ本当の解は見つけられません。どこかにあるものをマネしたところで、国の制度や文化の違いの下で、結局は大きなゆがみを生じさせるだけなのですから。

日本はこれから、どこの国も経験したことがないような超高齢社会に突入します。そして「最も成功した社会主義国家」という独自性を持ち、結果として90年代以降のグローバル社会に乗り遅れて経済が停滞し、しかし、今回の金融危機では直接的な被害は少なくて済みました。日本はその点では、ヨーロッパとも、アメリカとも、共産主義国とも、違う方向で最先端に立っています。どうやら斜め後ろから中国が30年遅れながら、猛スピードで追いかけて来るようです。一番先頭にいるものは、すべて自分が頼りです。前例はない、間違いかもしれない、でもやってみるしかありません。間違いによるバランスの崩れには細心の注意を払いながらもね。

日本は日本の道を行く。それでいいのです。