「疑い」を届け出ないのは一つの手

【新型インフル】都が「疑い例」を届け出ず すでに数人
パニック寸前の一般人からすればハァ?という感じでしょうが、東京都の対応は十分に評価できるものだと思います。
ここ数日のニュースを見てもらえればわかるように、「疑い例」なんてものはいくらでもあるわけで、一つ疑いが出るたびに学校や家にマスコミが殺到して、家族や近所に迷惑はかかるわ、ネット上ではバカどもによって個人情報は晒されるわ、公的機関からですら性別や年齢、渡航地を公表されるわで、当事者はとんでもない目にあっているわけです。で、実際フタを開けてみれば普通の季節性インフルエンザでしたというのが現状なんですよね。(だいたいこの時期でも季節性インフルエンザが流行っている地域はいくらでもあるし)

そんなひどい様子を目の当たりにすれば、たとえ自分が海外渡航歴があって高熱があっても、保健所に連絡したり、医師に診てもらうのはやめておこうと考える人が出てきても不思議ではありません。「死ぬかもしれないんだったら病院行くだろう」と思う人も多いでしょうが、「この前、季節性インフルエンザでタミフル貰ってその時は使わなかったから、自己判断でそれを飲んで治そう」と考える人も少なからずいるはずです。もし、そういった人の中に本物の新型インフルエンザ患者が紛れ込んでいるとすれば、それこそ本末転倒です。

はっきり言って、私はマスコミがお得意のヒートアップ状態にある現時点で、「疑い例」の詳細を安易に公表することはリスクコミュニケーションの観点から言ってまずい選択だと思います。「疑い例」が公表されなかった地域では「自分の地域にウイルスはまだ侵入していない」といった変な誤解を与える可能性もありますしね。こういう時にこそ、マスコミの行動は規制されるべきです。厚労省の担当者もいつもの調子でぶら下がり取材にリークしているのでしょうが、そこらの法令改正や許認可の問題とは訳が違うということを認識してもらいたいものです。