おもしろ無線の役に立つ使い方?

2月のCBニュースから一部抜粋

総務省消防庁東京消防庁管内で実施した救急受け入れに関する実態調査によると、受け入れが断られやすいとの指摘がある急性アルコール中毒精神疾患の患者、未受診妊婦などの場合、受け入れ照会が4回以上となるケースが32.5%と、救急搬送全体の8.3%を大きく上回り、現場滞在時間も長くかかるなど、受け入れが実際に困難である実態が明らかになった。受け入れ困難の詳細な理由についても調べており、こうした調査は国レベルでは初めて。


昨今、救急隊の要請があちこちから断られる(俗にいう「たらい回し」)が問題になっていますが、どうやら最近は救急隊も受け入れに必死になって、患者の病態を正しく伝えないことがあるようです。CPAだと聞いていて準備していたら、アル中だったとか。そういうときには、最近巷で人気の「おもしろ無線」、すなわち消防救急無線を聞いておくといいかもしれません。救急隊からの生の情報が得られますからね。

交通事故なら受傷機転を知ることは大事ですし、受け入れを決めたらかかりつけ病院などの情報から既往歴を問い合わせておくのも有用かもしれません。あまり医療従事者には無線の存在や傍受方法は知られていないのですが・・・。

ちなみに受け入れ拒否理由でよく聞く「ベッドが満床」という理由ですが、まんざらウソではないです。救急外来自体のベッド自体が空いていてもICU管理できる病床が空いていなければ、ICUに入る可能性が高い重症患者は受け入れられませんからね(目撃情報なしのCPAOAはいけるかも)。そしてICU病床を空けるためには、深夜であろうが、できるだけICU患者さんに早く一般病床に移ったり転院してもらわなければならないのですが、色々な事情があってそれが難しい(自分が転棟させられる患者の立場ならどうか、という話もあります)。玉突きをするように、スムーズに押し出せばいいのですが、そうもうまく行かないわけです。流れとしては以下のようになります。

救急車搬送 → 救急外来 → ICU病床 → 一般病床 → 退院or他院へ

このどの過程が滞っても、連鎖的に停滞が起こり、受け入れ拒否が発生するわけです。

結局、この辺の問題って、冗長性の問題なんですよね。空床を確保すればいいんだけど、稼働率が低ければ病院は赤字。人が多ければいいんだけど、人が多ければやっぱり赤字。カンバン方式に代表されるように効率化を図れば図るほど、冗長性は失われるというのが一般的な法則です。

つまり、選択肢は二つに一つ。医療の効率化を図って冗長性を減らすか、効率を犠牲にして冗長性を確保するか。前者では受け入れ拒否が発生しやすい環境、後者では国民にたくさんのお金を払ってもらう必要があります。

ダイヤに余裕を設けるかわりに遅れが少ないか、ダイヤに余裕を設けない代わりに遅れてばかりか、ってのと根本は一緒です。