医師が多数派の代弁者であってどうするのか?

病院実習をしていると様々な患者さんに出会います。大学病院レベルまでやってくる患者さんですから、難しい病気を抱えていることも珍しくありません。中には働き盛りの年代なのに病気のために長期の休職を余儀なくされたり、障害のために日常生活に著しい困難を伴っていることも少なくない。中には「なんで自分がこんな目に」と苦痛を吐露する方もおられます。

こういう患者さんと接していると、常に思うことは医師の仕事というのは、単に病気を治したり、付き合い方をアドバイスするだけではなく、病気のために社会の多数派の流れから落ちこぼれた人を(色々な側面から)救うという役目があるのではないかと思うわけです。したがって、医師には積極的にこうした少数派の人々を支え、彼らの願いを社会に発信し、社会での共生を支援していく義務があると思う。

はっきり言って、彼らはハンディキャップを抱えているから、普通の健常な人間からすればお荷物でしかないかもしれない。自己責任の時代に、なぜ彼らの医療費まで我々が払わなければならないのかという怒りもあるかもしれない。しかし、医師が社会の潮流に流され、こういった苦労している少数派をないがしろにし、多数派の代弁者となり下がるのはいかがなものかと思います。

私は少数派を積極的に支援する医師になりたいなと思っています。