民主党の社会政策には好感が持てる

政権交代後に打ち出された民主党の政策ですが、意外と私には好印象です。特にマニフェストに書かれていなかったり、マニフェストの目玉ではなかった部分の政策が気に行っています。具体的には、障害者自立支援法の廃止、CO2の25%削減、取り調べの可視化、法相の死刑慎重発言、夫婦別姓などです。

もともと民主党は立場的には社会的リベラル、経済的左派に分類される政党です。対する自民党は社会的保守、経済的右派に分類される政党ともいえます(経済政策については一概には言えない面もありますが)。私の基本的政治信条は社会的リベラル、経済的右派です。つまり、社会の多様性をとことん認めるし、金持ちも貧乏人もいて構わない、という立場です。個人主義ですね。

(注意:経済左派とは再分配を重視する立場、経済右派とは自由主義経済を重視する立場です。一般的に日本で使われる、右翼、左翼とは意味が異なることに注意が必要です)

なので、経済政策や国家の再配分方針については民主党よりも自民党寄りの立場ですが、刑罰の在り方や社会的な政策については民主党寄りと言えます。だから、民主党の社会政策には好印象を持つわけです。

一方で、昨今増殖中のネトウヨと呼ばれる人々の立場は、社会的保守、経済的左派です。私と全く逆の立場なので、彼らは民主党の経済政策には同調するものの、私が好印象を持っている社会政策には不満を唱えることでしょう。

それはともかく、なぜ私は貧乏人も金持ちもいた方がいいと思うのか、それは単純な話です。貧乏人は貧乏人らしく安くて質の悪い商品を買います。金持ちはケチな人ならともかく、普通は高級で質の良い商品を買います。商品とそれを作る人に多様性が生まれます。

ところが、これを再配分機能によってすべての人を同レベルの収入に貶めると、みな同じような価格の同じような品質の商品しか買いません。よって、それらの商品は大量生産が可能な機械生産に移行することとなります。高度な技術を持った職人は買い手がいないので仕事を失い、技術レベルは低下します。単純労働者も機械の方が効率よく商品を作れるため、これまた仕事を失います。

つまり、金持ちがいて高級な商品を買ってこそ、職人も単純労働者も仕事にありつけるのです。だから、私は貧乏人も金持ちも両方いなければならないと思います。もちろん、どう切りつめても生活ができないほどの困窮者には政府は手を差し伸べる義務があります。しかし、とりあえず生活ができる中流階級にあえて重点的に再配分をする理由はどこにもありません。