健常者も障害者も互いにカーテンをひきあう

前から一度見たいなと思っていた映画を見てきました。

想田監督の「精神」です。この映画、日本ではあまり知られていませんが、海外の映画祭で軒並み優秀賞を受賞している質の高いドキュメンタリー映画です。

ドキュメンタリーと言っても解説やナレーションはなし。すべて患者、医療介護スタッフ、監督との会話をそのまま録画したものです。日常の延長線上に非日常の世界がある、そんな感じですかね。

この映画を見て一番強く感じたことは、「正常と異常の違いって何よ?」ってことです。かつて、このブログでも正常と異常についてエントリを立てたことがあります[id:vvvfigbt:20081207]。私が抱いたのと全く同じ疑問をこの映画は訴えます。

先日頂いたコメントにも通じますが、見てはいけないという「タブー」を作る、それが偏見を生む・・・その悪循環。

ネタバレになるかもしれませんが、この映画の中で40年間統合失調症を患っているという普通のおっちゃんが言ったことはすごく印象に残りました。「健常者も障害者に対してカーテンを引くけど、障害者も健常者に対して自らカーテンを引くということがあるんや」

この映画で少し微妙だったのは共産党のポスターが出てきたことぐらい。なぜ、共産党なのかがよくわからない。思想的には社民党に近いと思うのですが(実際福島みずほもこの映画にコメントを残している)。それを除けば、考えさせられることの多いよい映画だと思います。

最後のエンドロールで「追悼」が出てきたときにはさすがにドキッとしましたね。見た後も考えさせられる映画です。

公開から時間がたち、都会では上映している映画館も少なくなりましたが、是非一度ご覧になることをお勧めします。