橋下にメールを送った職員は賞賛されるべき

日本人はあまり意見を言わない人種とも言われ、それが国際社会において大きな損失となっていることは周知の事実です。トップに対しても意見をいうことは大いに奨励されるべきであり、たとえそれが痛烈な批判であってもトップにはそれを受け止めるだけの度量が求められます。しかし、橋下にはそれがないようです。牛乳を1日に10Lぐらい飲んだらいかがでしょう?

「どうも税金に関して、僕の感覚と、役所の皆さんの感覚は違います。昨日の議会答弁、水需要予測の失敗によって380億円の損失が生まれたことに関しても恐ろしいくらい皆さんは冷静です。何とも感じていないような。民間の普通の会社なら組織挙げて真っ青ですよ!!(中略)それよりも、皆さん、380億円の損失って、何にも感じませんか?何があっても給料が保障される組織は恐ろしいです・・・・」
「このメール配信の意味がわかりません。愚痴はご自身のブログなどで行ってください。メールを読む時間×全職員の時間を無駄にしていることを自覚してください。また、文も論理的でなく、それなりの職についている人間の文章とも思えませんが」
非常に的を得た指摘だと思います。彼のメールは要旨がはっきりしていません。特に「民間の普通の会社」以降の文章が、何が言いたいのか分からない。380億円の損失が生じたという事実を言いたいのか、単に公務員批判がしたいのか、それとも公務員制度に対する批判がしたいのかが不明で、論点がずれまくってます。文章も論理的とは言いがたく事実誤認がある。

普通の会社なら真っ青になると彼は言うが、大企業でも末端の社員やアルバイトはほとんど他人事で真っ青にならないでしょう。むしろ真っ青になっている経営陣をあざ笑っていることの方が多い。実際にそれが回りまわって解雇となったときに初めて真っ青になる。実際、私はそういう人を何度となく見ています。給料が保証される組織だから真っ青にならないのか、決してそういうことではない。経営と労働の現場を大きく分離してしまう組織の大きさ、風通しの悪さという要因が大きく影響していると考えるのが自然です。

また、これが一部局に送られるメールならともかく、全職員に送られるメールとしてはあまりに文章が洗練されていません。私はこのメールを見たときに女性職員のメールより、知事のメールの口語調ぶりに驚かされました。これが知事メールなのかと。「組織挙げて真っ青」って奇妙な文章ですね。感情に任せて書いたとしか思えない文言も随所に見受けられます。

この程度の批判、しかもちゃんと筋の通った批判を「罵倒」などというマスコミの皆さんは、本物の「罵倒」を見たことがないんでしょうね。世間知らずもいいところです。というか、あなた方がやっていることがはっきり言って「罵倒」なんですが

「380億の投資を行うことを決断したのは誰ですか?投資なら、損益を十分考えて行ったわけでしょうから、今回の責任は決断した人にあるべきです。『やめ逃げ』はずるいです」
この指摘も非常に的を得ている。撤退を決断したのは知事です。組織の長として彼には大きな責任があります(もちろん府の担当者にも責任はあるが)。このメールを見る限り、彼はその責任を他者へ押し付けようとしているように見えます。『やめ逃げ』と言われても仕方が無い。自分の責任はちゃんと認めた上で、あなたにも責任がある、だから一緒に反省しなさい、というのがトップたる姿勢だと私は思います。

知事は府民に選ばれた政治家であるとともに、行政組織の最高責任者でもあります。政治家であることを理由に彼を除いた行政組織を一方的に批判することは、行政組織の最高責任者の自覚を欠いているとしかいいようがありません。これは悲しいかな昨今の大臣にもいえることです。

しかしながら、こんな度量のない人間を知事に選んだ我が大阪愚民の責任も大きなものです。