前原発言への疑問

日本で国が管理する黒字の空港は、伊丹、新千歳、熊本、鹿児島の4つだけ。羽振りがいいように見える羽田空港は実は滑走路の拡張や新ターミナルビルの建設が響いて赤字です。そこにさらに巨額の税金を投入してまでハブ化する理由がよく分からない。それで羽田の収支は改善するのでしょうか?

最近ではハブアンドスポークという概念自体がもはや古いものとなりつつあります。都市から都市へ移動しようと思えば、スポーク→ハブ→ハブ→スポークと2回も乗り換えが必要で、非常に面倒です。乗り換えの回数が多くなるとロストバゲッジの確率も高くなる。これからの時代は5千キロ以上の路線でもない限りハブアンドスポークではなく、中小型機で都市から都市へ直接結ぶポイントツーポイントの時代になります。だからこそ旅客機のノウハウのない三菱がリージョナルジェット事業に参入しようとしているわけです。

そういうコンテキストの中で羽田をハブ化しても、結局乗り換えが面倒ってことでポイントツーポイント路線が増えていくだけのような気がします。それ以前に乗客の立場からすれば羽田と仁川もどちらを選んだって一緒。安い方に客は流れるので、羽田に就航する航空会社の運賃が高ければ客は仁川に流れます。他の空港がどうこういう問題と言うよりも、戦略として羽田のハブ化自体が現状ではあまり意味がないと思いますね。さらに現実的問題として、ただでさえ過密な羽田空港周辺の空域にこれ以上航空機を運航させること自体が日本の現在の環境では危険です。多数の海外路線が開設されると不慣れなパイロットも多いでしょうから、ニアミスの確率は相当高くなりそうです。慢性的な遅れも増えるかもしれません。

空港のハブ化という理念よりも大事なことは、大韓航空やアシアナに負けないような低価格の国際線、国内線路線を日本の空港に就航させることです。日本の航空会社は概して運賃が高い。私は関空の生き残る道は、まずポイントツーポイントで中近距離国際線を提供するLCCの誘致、それを目当てに国内線専用空港から集まってくる小型機路線の誘致にあると思います。その結果、ハブアンドスポーク構造やポイントツーポイントのネットワーク構造が構築されるならそれもありだとは思います。