裁判所

とある事件の傍聴で裁判所に初めて行きました。民事事件だったので書類上の陳述と次回の日程調整がほとんどで、5分程度で終わりましたが、なかなか面白かったです。まず驚いたことは同じ時間帯の同じ法廷で複数の事件を扱っていたことです。私が傍聴した法廷では2つの裁判の判決と2つの事件の口頭弁論が行われていました。判決は主文の読み上げだけでそれぞれ1分で終了。貸金関係の裁判だったと記憶しています。口頭弁論はさすがに2分〜5分ぐらいかけてましたが、基本的には書類のやり取りだけなので「すでに答弁書を提出されているので、陳述擬制ということでよろしいですね」といったやり取りが続きます。一度に何件もの事件を扱うので、各事件の弁護士や関係者は全員傍聴人席に待機しており、自分の事件が始まると原告席、被告席につくといった形です。

で、思ったのが法廷の設計について。なんで法廷ってあんなに居心地の悪い場所なんでしょうね。民事にもかかわらず窓は一切なく、壁も白い。手術室は壁が緑でいろいろな機器が散乱しているというのもあり、長時間いても平気なんですが法廷はあまりに殺風景で、さっさと退散したくなるような雰囲気です。窓がない一つの理由は傍聴人の出入口の向かいには裁判官が出入りする専用の扉があり、さらに両隣には別の法廷があるためですが、そもそも裁判官が別の扉から出入りする必要などあるんでしょうか。傍聴人の中にナイフを持った人間がいる可能性があるとはいえ、廷吏が護衛すればいいだけの話ですし、何なら隣の法廷との間に廊下を設けてそこから出入りするようにした方がいいんじゃないかと思います。空気も淀みやすいはずなので、やっぱり窓はあった方がいい。さらに法廷には時計がありません。ないというか、傍聴人席の後ろの壁だけにかかっているので、裁判官や書記官からしか見えないのです。これも非常にまずい構造だと思います。

ただ、悪いところばかりではなく、これは使えるなという設備もありました。それが傍聴人の出入り口扉。外側から中の様子を垣間見ることができるように、開閉式ののぞき窓がついているのです。のぞき窓はちゃんとガラスがついています。特注品みたいなので、値段は高そうですが、個人の家とかオフィスとか診察室にも使えると思います。

で、当の裁判官ですがちょっとコミュニケーション取れなさそうな人でした。書類を読む口調は淡々としていて、こちらの方を見ることもありません。終始、誰かと目をじっと合わすことはありませんでした。書類の読み上げ中心のルーチンワークとはいえ、同じ空間を共有しているわけですから、もうちょっとコミュニケーションを取ってもらいたいものです。あと、弁護士の独特の言い回しもちょっと気になりました。日程調整でダメな日を提案されると必ず「差し支えです」と言うんですね。「異議あり」と同じ調子なんでしょうが、そんなに厳格にするべきシーンでもないと思うので、もう少し言い方にバリエーションがあってもいいはずです。その日の気分とかで変わるとかね。裁判官にしても弁護士にしても形式にこだわり過ぎて、人間性が消えているような気がして仕方がないです。

まぁ、そんなことを言えば、大学院生の学会発表なんかも単調で面白くないですが(プレゼンは完ぺきで無味乾燥なものよりは、ちょっとミスがあって少し人間臭さを感じる方が聞き手の興味を引きます。形式にこだわる教授などは絶対に許しませんがね。どうかと思いますよ、そういう教授)。