ASD(Autistic Spectrum Disorder)は110人に1人

ASDというと国試的に大抵の医学生は心房中隔欠損(Atrial Septal Defect)を思い浮かべるのですが、私は急性ストレス障害(Acute Stress Disorder)と自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorders)も思い浮かんでしまいます。それは精神科にもある程度興味があるからなのですが。最近、ブログのタイトルもAut disce aut discedeからautism disorderにでも変えてやろうかと思ってるぐらいです(笑)。

それはさておき、アメリカのCDCが興味深いデータを発表しています。

New data show 1 in 110 children have an autism spectrum disorder (ASD).

CDC’s most recent data show that between one in 80 and one in 240 children with an average of one in 110 have an ASD. This is a prevalence of about one percent. These results reflect data collected by CDC’s Autism and Developmental Disabilities Monitoring (ADDM) Network in multiple communities throughout the U.S. in 2006.

Data are based on health and education records from reporting communities, which includes eight percent of the U.S. population of eight year olds. All children in the studies were eight years old because previous research has shown that most children with an ASD have been indentified by this age for services.

直訳していきますと
最新データによると110人に1人の子供がASDである。
CDCの最新のデータによると、80人〜240人に1人(平均して110人に1人)の子供がASDである。これは約1%の有病率である。これらの結果はCDCの自閉症発達障害調査ネットワークが2006年の米国の複数の地域で集めたデータを反映したものである。
このデータは米国の8歳人口の8%を含む、地域の医療・教育記録をもとにしている。以前の研究でASD児のほとんどがこの年齢までに特定できるということが分かっているので、研究におけるすべての子供は8歳とした。

つまり、アメリカの8歳児を調べたところ、だいたい1%が自閉症スペクトラムであったということです。昔は150人に1人とか言われていましたから、国民の関心の高まりなどの要素を無視すれば、ASDは増えていると考えられます。精神科で100人に1人といえば統合失調症が有名ですが、schizoと同じぐらいの割合でASDがいるということになります。

彼らに対してどう接していくか、彼らとどう付き合うか、彼らが二次的障害として社会に強い恨みを持たないようにするにはどうするか、よく考えていく必要があると思いますね。小さい子にはできるだけ介入していけばいいと思いますが、大人になると介入もなかなか困難です。

これはあらゆる人との付き合いで実践すべきことですが、一つ我々がするべきことは「相手の解釈モデルを探り、理解する」ということでしょう。会話をしている時に自分の価値観を押し付けない。自分は(常識に基づくにしろ、しないにしろ)こう思うと主張することは大いに結構ですが、相手が違うことを言った時は「それは違う!」とバカの一つ覚えのように言うのではなく、「なぜそう思うのか」ということを問いかける、そして「確かにこういう面ではその考えは正しいかもね」と評価することを癖にするのです。これを繰り返していくと、相手も、自分も皆違った価値観を持っていて、かつそれは当たり前なことなのだということが、自然と分かるようになります。そのうち「常識」なんていう浅はかな考えは消え失せ、一人ひとりの価値観に基づいた相互理解の道が開けるようになります。

そういう道をとことんまで拒絶して、常識にこだわっている人々をみると虚しくなりますね。それじゃ彼らとは付き合えないし、彼らに強い恨みを抱かせるだけですよ。その結果が、秋葉原や土浦の事件なんだろうと私は考えています。