高速道路をつくらない方法
道路の整備に関して。高速道路に関しては、「そもそも車なんていらねーよ」という都会と、「車は自転車替わりと言うよりももはや足に近い」という地方の対立構造があるわけです。最近は高速道路の必要性をアピールするために「命の道路」という言い方もされていて都会人には胡散臭くも感じられますが、大きな病院までいくつも集落を越えていかなければならない地方ではそれもまた事実なのです(ドクヘリの方がいいんじゃないかという気もしますが、ドクヘリは日本では飛行条件が厳しく夜や霧のときに飛べないことが多い。夜間照明設備や航法支援施設の強化がさらに必要)。
地方の好きな都会人である私にとっては両方の言い分が理解できますし、実は都会人が見えていないところに地方の重要さはあるわけで(地方に行くと普段食べている飯は一体どこから供給されているのかということがよく分かる)、地方の道路網の整備が必要なのは言うまでもありません。
しかし、地方に高速道路が必要かと言えば決してそうではないとも思います。地方の道路は峠越えなどを除いては巡航速度70km/h、最高90km/hぐらいは出せる曲線半径になっていますし、実際に50km/h制限のところを多くの車が70km/hぐらいで走行しています。ここに高速道路ができたとしても暫定2車線対面通行では最高制限速度は70km/h程度であり、だいたい80km/h〜90km/hで流れていますから速度向上効果は時速にすると20km/h程度しかありません。高速道路のメリットとしては信号が少ないというものがありますが、そもそも地方の道路では集落内はともかく、集落間では信号がほとんどありません。人の通行もほとんどないことから、ネズミ捕りのいない夜間は80km/h〜90km/hぐらいで飛ばす車もあります。これは高速道路そのものです。
つまり、高速道路を作らなくても
- 集落の前後をバイパスする自動車専用道路を作る
- 信号機には緊急車両が通行すると青に変わるシステムをつける
- 集落間の道路の幅を拡張し、広い歩道・軽車両道を設け、数少ない歩行者や遅い原付・トラクターが安全に通れるようにする。車道は原則自動車専用にする
- 歩行者横断が多い個所には横断歩道と歩行者感知装置を置き、歩行者がいると直前の警告灯を点滅させるようにする
- そのうえで法律を改正し、集落間やバイパス道路の法定速度を70km/hにする
という処置を施せば巨額を投じてトンネルだらけの高速道路を整備しなくてもいいわけです。実質的に高速道路と同じ程度の所要時間しかかからないわけですから。日本の道交法を改正せず頑なに堅持しているから、こういう「頭を使った」整備ができないわけで、まったく日本の役人や政治家はあまりに「法律」にこだわり過ぎて金を無駄遣いしているなぁと思います。