人手不足は医師だけではない


AERA 7/16号 国民喰いの元凶 厚労省 愚行の総決算
ジムに行ってふとAERAを手にとり、パラパラとめくっていると見覚えのある建物が!
はい、霞ヶ関の合同庁舎5号館。内閣府(防災担当)、厚生労働省社会保険庁環境省etcです。
今回のAERAの特集は厚労省の実態。とかく社会保険庁の問題やらなんやらで無能さが叫ばれているこの省なのですが、その構造的な問題や実状を記事にしていました。で、ある意味面白い指摘だなぁと思ったのが、薬害訴訟やインフルエンザ対策で手のひらを返したような急激な方針転換が出来るのは厚労省の内部的な問題があるらしいということ。それはすなわち

他の省庁ではキャリア官僚たちがビシッとピラミッド構造を作っているため、一度決めたことはなかなか翻らないが、厚労省はキャリア官僚たちに混じって行政経験の乏しい医師(たぶんこれは医系技官と思われる。ちょっとこの部分は疑問だが)などが管理職についていることもあり、組織としてきっちりと構造化されていないために、一度決めたことを変えることに躊躇がないのだ。変えることにためらいがなさすぎる。

というもの。「彼らは悪い人ではない、ただ、無知だしフィロソフィー(哲学)がないのだ
しかし、医師なしでやっていけるかというとそういうことはまったくない。厚労省の幹部曰く、「厚労省には東大法学部を優秀な成績で修めた賢い官僚たちもさっぱり分からないことが数多く存在するのです

で、かといって医系技官がその知識を存分に発揮できているかという点にしても微妙で、ヤコブ問題では「医系技官ですら大量の事務処理に追われて最新の論文を読む暇さえない」という実状が明らかになった、とのこと。

厚生労働省は疲弊している。業務範囲は広がるし、訴訟は数多く抱えるし、その割に人手は全く足りていない。厚生労働省の審議会や業務等は他省庁に比べれば飛びぬけて多い。増加するばかりの業務に対して、仕事のやり方について改善を検討したこともあったが、どうすることもできなかった。ただ、今は国民のために向かって全力でまい進するだけだ(辻事務次官、その他幹部の話を要約)

そのほか、AERAの記事ではこのようなことが取り上げられていたと記憶しています。

  • 厚生労働省の役人たちは社会保険庁の職員に対して嫉妬している。彼らはノンキャリにも関わらず、金を持っているし、天下り先も沢山あるからだ。社保庁厚労省の合同宴会ではいつも社保庁からの持分の方が多い。今回、厚労省社保庁の問題に知らん顔でいるのは、これらの嫉妬もあるだろうし、どうせ自分たちとは違う立場になる人間の問題に関わるのは得策ではないと判断しているのもあるのだろう
  • 厚生労働省は歴史的には格下の省である。もともと戦後の行政改変で、内務省の役人が厚労省に鞍替えすることになったのだが、幅広い国務を担当していた内務省の役人は厚労省に移ることを嫌がったという。左遷同然だからだ。
  • 今は、戦後の福祉政策の充実によって厚労省は予算も増え、業務範囲も増え、本丸の財務省などに比べて学生には人気の高い省庁だ。
  • しかし、彼らは「二流の秀才」である。悪い意味でまじめで、一生懸命仕事をしているのだが、無知さと統制のなさで、迷走している(この辺はちょっと記憶が曖昧です。記事をお持ちの方、ご指摘ください)
  • 厚生労働省現業部門と政策立案部門を分けて、キャリアたちが政策立案だけに集中できるようにしなければ国民を本当に食らう省になるだろう


この記事が本当かどうか、それはこの目で確かめてみないと分かりませんが、私はやはり厚労省が医師同様に疲弊しているというのは間違いではないと思います。厚労省とつながりの深い先生曰くですが、「厚労省掲示板をみると『2時から会議』、と書いてあるものがあった。昼の2時かと思ったら、深夜の2時だった」